2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

……03/2006

計32冊。結構な新刊ラッシュでしたね。とくに月の後半からは好きな作家の新刊がどばどば出て、ついでに仕事もいつもより忙しかったので、ちょっと消化不良。トカジの新刊は来月に持ち越し。 恋はさじ加減(平安寿子/新潮社)★★★ 深淵のガランス(北森鴻/文…

恋はさじ加減(平安寿子/新潮社)★★★

働くねぇ。 おいしいと好きになるのか、 好きだからおいしいのかーーー。 甘い、しょっぱい、ほろ苦い。 あなたの恋はどんな味?ポテサラ、ハヤシライス、カレーうどんにバターご飯etc. 食べ物をきっかけに始まる恋、こじれる恋を描く6編 今時めずらしい「普…

深淵のガランス(北森鴻/文芸春秋)★★★★★

花師と絵画修復師、二つの顔を持つ男・佐月恭壱を主人公とした新シリーズ。絵画にまつわる深い闇と、人間の欲望が絡み合う、まさに著者にとっては<ホーム>な作品でして、面白くないわけがない。 この人の作品(シリーズもの)で嬉しいのは、他のシリーズの…

陽の子雨の子(豊島ミホ/講談社)★★★★☆

豊島ミホの最新刊です。 私立の男子中学に通う夕陽、 二十四にしては幼く見える雪枝、 十五で雪枝に拾われて四年になる聡。 思いがけない夏が、いま始まる。 初めて夕陽が雪枝の家を訪ねる日、 押し入れの中には、後ろ手に縛られた聡がいた。 不安と希望の間…

人生を救え! (角川文庫)(町田康・いしいしんじ/角川文庫)★★★★

町田康による人生相談と、町田康&いしいしんじとの対談が併録されてる、なんとも不思議な一冊。 「町田康」と「人生相談」はあまりに相容れないような気がするが、読んでみると意外に真面目。いや、文章やノリは町田康テイストなのだが、人生相談における回…

まほろ駅前多田便利軒(三浦しをん/文芸春秋)★★★★★

久々に、三浦しをんでガツンと来た気がします。これまでの作品の中でも一番いいかも。 舞台は東京のはずれに位置する”まほろ市”。ひっそりとしたこの街の駅前で便利屋を営む男・多田は、常連の仕事帰りに、高校時代の同級生である行天と再会する。高校3年間…

大鷲の誓い デルフィニア外伝 (C・NOVELS Fantasia)(茅田砂胡/中央公論新社)★★★★

お久しぶりのデルフィニア戦記。意外にもデルフィニアを舞台にした外伝はこれが初めてだったのね。 後に国王の右腕となるバルロとそのバルロの生涯の友となるナシアス。若き二人の出会いから、お互いを深く信頼するまでに至った様々な事件が描かれる。 久し…

博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)(サイモン・ウィンチェスター/鈴木主税・訳/ハヤカワ文庫)★★★★★

二日続けてノンフィクションとは、我ながらめずらしい。昨日の五つ星ホテル暴露本はけらけら笑ってあー楽しかった!ってかんじだったけど、こちらはやりきれない思いがじわじわと心の中に広がっていくような物語だった。 購入のきっかけは「豊崎由美氏も絶賛…

誰も知らない五つ星ホテルの24時間―匿名ホテルマンの爆笑告白記(イモジェン・エドワーズ・ジョーンズ&匿名/和波雅子・訳/ソニー・マガジンズ)★★★★★

本屋で見かけて衝動買い。 まさか、ロンドンの超高級ホテルで そんなことが! でも、すべてホントの話なんです……ベテランのホテルマンが匿名で、これまでの体験談を 1日24時間のドラマに構成した抱腹絶倒のノンフィクション ロンドンの五つ星ホテルを渡り歩…

終末のフール(伊坂幸太郎/集英社)★★★★

前作の『砂漠』があまり好みではなかったとはいえ、新刊を目撃したら速攻購入して読んじゃいますわね。だって伊坂幸太郎だもの。 だいたい、なぜわたしは『砂漠』が好きじゃなかったんだろう。わりと評判いいですよね。 いろいろ考えてみた。 わたしは伊坂小…

バックマン・ブックス〈2〉ハイスクール・パニック (扶桑社ミステリー)(スティーヴン・キング/扶桑社ミステリー)★★★★

キング読むの久しぶり。なんかさくっと勢いで読める翻訳モノないかな…と本屋を徘徊してたところ、別に新刊でもないのに平台に並んで「まぼろしとなる前に読め!」みたいなことが書いてあるPOPが差してあって、ちょっと気になるので買ってみた。 <二年前のこ…

本屋大賞をメッタ斬り〜ノミネート作品の順位を予想(2)〜アップ

まずはその日のまえに わたしとしては、これはイチローのヒットみたいな存在。重松清が<死>をテーマに下手な小説書くわけないだろ! めちゃめちゃ上手いのに、その上手さ故に本屋大賞はないだろうな、という作品。 でもいい作品ですよ、ホント。 次に県庁…

底辺女子高生〜最終回〜 by 豊島ミホ〜WEBマガジン幻冬舍〜

高校時代をメインに描いたエッセイの最終回です。 http://webmagazine.gentosha.co.jp/toshimamiho/toshimamiho.html 面白い回も面白くない回もありました。でもラストはちょっとぐぐっと来ましたね。ベタですけど。ベタって言ったら悪いですけどね。エッセ…

俺が近所の公園でリフティングしていたら(矢田容生/小学館)

もとは2ちゃんねるのどっかの板に書かれた小説を、大幅に加筆修正したものらしい。小学館がやりそうなことではある。 主人公の樋口は埼玉県の高校のサッカー部に所属、隠れた才能を持つが全国区では無名の選手だ。その樋口が公園で一人リフティングをしてい…

東京負け犬狂詩曲(ラプソディ)(山崎マキコ/JTBパブリッシング)★★

カバーにインパクトがあったので釣られて購入。 見習い編集者の逸見香織は、ジュニア小説家として20代は活躍していたのだが、その道で食べていくことに限界を感じ、30歳を過ぎて知り合いの出版社で働かせてもらうことになる。金はない、男もいない、仕事もで…

オタク女子研究 腐女子思想大系(杉浦由美子/原書房)★★★★★

「腐女子」を中心にオタク女子の世界をわかりやすく、かつ鋭い意見でまとめた一冊。こういう本が出てくるのもわかるなぁ。オタク男子の話は出尽くした感あるし秋葉原もパブリックなイメージになっちゃったしメイド喫茶も氾濫してるし。…というわけで次に来る…

好きな作家

先日レビューに書いた読書大賞blogさんのところで、今度は好きな作家のアンケートが行われていたのでまた参加してみた。 http://dokusyataisyo.jugem.jp/ 自分でも項目を増やせるシステムだったうえ、まだ投票者が少なかったのでガンガン作家名を追加してき…

きいろいゾウ(西加奈子/小学館)★★

何でしょうね、このアンバランスさ。この人、上手いんだか下手なんだかわかんないわ。 はっとするほどいいエピソードもあるの。でもキャラのつくりとか全体的なストーリーの流れがひどく安易で。そこのギャップが激しくて、ひどい「違和感」を感じながら読み…

狐と踊れ (ハヤカワ文庫 JA 142)(神林長平/ハヤカワ文庫)★★★★

id:seiitiさんのオススメに従い、デビュー作を含めた著者初の短編集にトライ。 いい作品はどれだけ時間が経っても古びないもんなんですね。だってこの文庫出たの、1981年ですよ? わたし3歳だし! ここに収められた六つの短編は、結構アクが強い。SF度が高い…

チョコレートコスモス(恩田陸/毎日新聞社)★★★★★

恩田陸の最新作! これがね、素晴らしいんです。なんていったって恩田版『ガラスの仮面』ですから! ミステリでもファンタジーでもない恩田作品ってかなり久々じゃないかなぁ。『夜のピクニック』以来じゃないかしら。『夜ピク』は、夜通し歩き続けるという…

男と女、本の好みはどれだけ違うのか?アンケート

id:seiitiさんのブログから飛んでいきました。なんか楽しそう。 http://dokusyataisyo.jugem.jp/?eid=284 80冊から10冊を選ぶ、というアンケートなのですが、 その80冊は えーっと、まず、ここ最近の本屋大賞上位10作品、芥川賞、直木賞受賞作、 ここで行っ…

ママの狙撃銃(荻原浩/双葉社)★★★★

荻原浩の作品はちょっと久しぶり。というか前作の『あの日にドライブ』を途中で放り投げただけで、それまでのは全部読んでるんですけどね。でもここ最近わたし的にずっとアタリがなくて、これも読もうか読むまいか悩んだ。 で、失礼承知で言いたい。 荻原浩…

ウは宇宙船のウ【新版】 (創元SF文庫)(レイ・ブラッドベリ/創元SF文庫)★★★★

ブラッドベリ初挑戦です。この短編集はヤングアダルト向けらしく、初めて読むには良かったかも。 一番面白かったのが「霜と炎」。 きっかり8日間で早送りのように成長し老い、そして人生を終える世界に生まれた少年・シム。めぐるましく短い人生を生きるこ…

NANA―ナナ― 15 (りぼんマスコットコミックス)

掲載誌を読んでるだけに、単行本でのこういう書き下ろしは嬉しいです。いい感じで未来の話をカンフル剤として使ってますね。ま、とにかく本編をガンガン勧めてほしいですが。

特盛! SF翻訳講座 翻訳のウラ技、業界のウラ話(大森望/研究社)★★★★

結構ね、楽しみにしてましたよこの本の発売。 大森望という翻訳者を意識し始めたのはそんなに前じゃない。ちょうどわたしの本格的なSFデビューである『リメイク』(コニー・ウィリス/大森望・訳)を読んだ頃と、多少の読書好きなら気にかかるであろう『文学…

チーム・バチスタの栄光(海堂尊/宝島社)★★★★

第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。 これはね、「買い」ですよ。 天才・桐生医師率いる外科チームは、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術を専門としており、本来リスクの高いものであるにも関わらず成功率100%を誇るミラクルチームとして、…

包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)(天童荒太/ちくまプリマー新書)★

あんまり作品数は多くないのに、『家族狩り』『永遠の仔』というベストセラーの影響でしょうか。書店ではかなりスペースとって売ってましたね。 とある少年との出会いによって、心の痛みを和らげる方法を得た女子高生・ワラ。それは嫌な想い出のある場所に包…

本屋大賞をメッタ斬り〜ノミネート作品の順位を予想(1)〜アップ

http://nikkeibp.jp/style/life/topic/honya3/060310_2nd/index.html 大森望×豊崎由美のこの対談はやっぱいいですね。読んだときに感じるいろんなものはなかなか自分の言葉にできなくて歯がゆいけど、かゆいとこに手が届いたような気がして。勉強になります…

ケルベロス第五の首 (未来の文学)(ジーン・ウルフ/図書刊行会)★★★★★

とても評判がいい(玄人受け)というのは知ってたのだけど、難解そうなイメージだったので手を出さないまま、でも何となく気になる作品だった。でも今月また同じく<未来の文学>シリーズからこの著者の作品がでてたので、思い切って挑戦してみる。 地球より…

小指の先の天使 (ハヤカワ文庫JA)(神林長平/ハヤカワ文庫)★★★★★

なんでだろう。これ読み始めるまで梶尾真治の短編集だと思い込んでた。なんでだ? 以前id:seiitiさんに勧められてこの人の作品も読もう読もうと思ってたんで結果オーライだけど。というわけで、日本SF界の大御所に初挑戦だ。 恋人同士がたがいに触れ合えない…