本屋大賞をメッタ斬り〜ノミネート作品の順位を予想(2)〜アップ

まずはその日のまえに
その日のまえに
わたしとしては、これはイチローのヒットみたいな存在。重松清が<死>をテーマに下手な小説書くわけないだろ! めちゃめちゃ上手いのに、その上手さ故に本屋大賞はないだろうな、という作品。
でもいい作品ですよ、ホント。


次に県庁の星
県庁の星
この人の作品に関しては一貫して「雰囲気に流されてる」というのがわたしの感想。で、この作品に対しての二人の対談によって知ったんだけど、ありきたりで陳腐なプロットや描写をクリシェっていうんだね。使える言葉だ。でも最近はクリシェを否定したらキリがないよね…。



そして容疑者Xの献身
容疑者Xの献身
なんか気の毒ですね。『白夜行』みたいな人間ドラマをメインにした作品が落とされて、この作品で直木賞受賞したはいいけど、評者からはこれでもまだ人間が描かれてないって言われるし、ていうかミステリ作品に直木賞あげるのはどうかなんて言われるし、本格ミステリ系からは否定されるし。
いいじゃんねぇ? 最近の直木賞なんてテクニック+エンタメ性でしょ? 十分すぎるほど満たしてんじゃん。というか『白夜行』でもっと評価されるべきだったんだし。この作品が本格ミステリであるか否かなんて、もっとどうでもいい。ていうかこの小説、本格じゃないでしょ? もしこの作品が本格寄りだったら直木賞なんてとれなかったわけだし。
もともと東野作品って、ひとひねりしたエンタメ系のミステリでしょ? ミステリのなかではかなり人間ドラマを描く人だよね? そういう人間ドラマを駆使した作品は無視しちゃったせいで、本来の東野作品より記号的でかつ人気のある作品を選ぶしかなかったと…。
まぁいいや、直木賞だし。でもそれをとっちゃったからこそ、本屋大賞はないよねぇ。