親なるもの 断崖 第1部 (ミッシィコミックス) 親なるもの 断崖 第2部 (ミッシィコミックス)(曽根富美子) 蝶のみちゆき(高浜寛)

親なるもの 断崖 第1部 (ミッシィコミックス)

親なるもの 断崖 第1部 (ミッシィコミックス)

親なるもの 断崖 第2部 (ミッシィコミックス)

親なるもの 断崖 第2部 (ミッシィコミックス)

この漫画はスマホウェブ広告に出てきたので気になって試し読みしてみたら面白く、続きを読みたく調べてみるも、絶版。その広告を出していた漫画サイトは、月額いくらで契約する仕組みでどうにも気が乗らない。でも同じように思っていた人は多かったようで、その声が版元に届き再販が決定された。紙の本は来月出るらしいが、その前にKindle版が(しかも紙よりかなりお安く)出てたのでさっそく買って読んだ。

昭和初期、室蘭の遊郭に売られた少女たちの壮絶な人生が描かれる。そもそも人権などが確立してなかった時代とはいえ、彼女たちを取り巻く人々のその粗暴さには目を覆いたくなる。遊郭といえば美しく幻想的なイメージで語られるフィクションが多いけれど、実際ほとんどの女郎にとっては地獄でしかないと、現実を突きつけられるような思い。後半は日本が戦争に突入して行く時代に沿って描かれ、反戦的なメッセージも強い。読んでよかった。



遊郭ものといえばしばらく前にこれも読んだ。

蝶のみちゆき

蝶のみちゆき

時代は幕末、長崎は丸山の遊郭で人気の遊女・几帳は金さえ貰えれば客は選ばず、さっぱりとした性格で男女問わず人あしらいがうまい。吉原と違って異人さんが出入りすることも多いエキゾチックな雰囲気のある華やかな丸山、そこで几帳が生きる切ない理由が徐々に明かされる。良い意味で物足りなさを感じるほどに余白のあるストーリーテイリングが好み。そして遊女の宿命でもある、短い栄華の儚さが描かれているのも良いと思った。