人生を救え! (角川文庫)(町田康・いしいしんじ/角川文庫)★★★★

人生を救え! (角川文庫)
町田康による人生相談と、町田康いしいしんじとの対談が併録されてる、なんとも不思議な一冊。


町田康」と「人生相談」はあまりに相容れないような気がするが、読んでみると意外に真面目。いや、文章やノリは町田康テイストなのだが、人生相談における回答者というスタンスにおいてはかなり真っ当なのである。毎日新聞日曜版に掲載されているものらしいので、ふざけるわけにもいかんだろうが。
まずは相談者の立場に立って「あなたが困るのはもっともだ」と肯定してあげる。そこからはとんでもない対策案を提案したりして、ふざけてけむに巻いてるようにも見えるのだけど、実は問題を軽くみせようとしてのことだと思う。だいたいにおいて、「嫁から追い出された」とか「隣の人がうるさい」とかの相談をに対して真面目に(しかも紙面で)社会的な回答をされると、問題がより深刻になった気がしませんか。そういう意味において、町田康という回答者は相談者に対してとても真摯であると思う。
ま、それもこれもこの人のたぐいまれなる文筆家としてのテクニックがあってこそだけど。


後半は、ともに大阪出身の作家である、いしいしんじとのお散歩対談。浅草、丸の内、お台場をぶらぶらしながら。
<お台場>の「お」がムカつくけど、「お」にムカついてる時点で「お」の持つ何かに負けてる気がする、というあたりは笑っちゃいました。なんかそれわかるわ。