恋はさじ加減(平安寿子/新潮社)★★★

恋はさじ加減
働くねぇ。

おいしいと好きになるのか、
好きだからおいしいのかーーー。
甘い、しょっぱい、ほろ苦い。
あなたの恋はどんな味?

ポテサラ、ハヤシライス、カレーうどんにバターご飯etc.
食べ物をきっかけに始まる恋、こじれる恋を描く6編

今時めずらしい「普通の」恋愛小説。
これを読みながらふと感じたんだけど、恋愛小説って最近売れてないんじゃないだろうか。あまり求められてない気がするんだよね。恋愛小説そのものが減ったわけじゃないけど、思いっきり純度が高かったり、人間関係のなかの一部として扱われていたりして、「恋愛関係」そのものを主軸に描いた小説を最近あまり読んでない気がする。恋愛至上主義の崩壊ゆえか、はたまたわたしの気分の問題か。


上手いですよ、平安寿子ですから。安心して読める。ただちょっとぬるま湯。今読みたい小説かというと、そうではない気がする。
そんななかで、ひとまわり以上年上の男性との関係に悩む「とろける関係」はけっこう好き。ここに登場する早苗おばちゃんが、いかにも平安寿子テイストなキャラクターで楽しい。


それにしても今更ながら思うが、この人ってタイトルのセンスないよな。このタイトルもどうかとは思うが、あの傑作『グッドラックららばい』にしても「グッドラックららばい」ってなんだよって話だし。その他も印象薄いしなぁ。


中身もタイトルもなんかイメージ固まりかけてる印象があるので、「らしくない」作品を書いてほしいなと希望します。