きいろいゾウ(西加奈子/小学館)★★

きいろいゾウ
何でしょうね、このアンバランスさ。この人、上手いんだか下手なんだかわかんないわ。
はっとするほどいいエピソードもあるの。でもキャラのつくりとか全体的なストーリーの流れがひどく安易で。そこのギャップが激しくて、ひどい「違和感」を感じながら読み終えた。
なにかいろいろなところを間違えてる気がする。
後半で主に描かれるのは夫の「ムコ」のバックボーンだが、どちらかと言えばそこを描かれるべきは妻の「ツマ」ではないかしら。ムコの過去はもっとさらっと描いていい。逆にさらっと描かれたツマの過去こそもっと深く描いてほしかった。だから、ツマのキャラが非常に不安定に見えるのだ。
一方で、<ムコ>の勤める老人ホームでのパーティーや、<ツマ>と大地と洋子で訪れる海のシーンなんかはとてもいいし。
なんだろうなぁ、この違和感は。著者が変に小器用なせいだろうか。最後まで読めるんだけど、著者が何を書きたいのかがわからない。細かな部分はいいのに、小説において一番大事な部分が粗い。逆なら良かったのになと思う。