少女漫画がアツイ!!〜『君に届け』&『溺れるナイフ』

子供のころは「大人は漫画を読まないものだ」と思ってたなぁ。というかわたしの親の世代(団塊よりちょい上?)は確実に読んでない人のほうが多いと思うんですよ。
ところがどうですか。
自由に使える金が下手にあるせいか、むしろ買いまくってる28歳!
40代とか50代とかになっても読んでるのかな(とりあえず30代はすでに確定で)。
60代になっても「今日はヒマだからスラムダンクでも一気読みするか」なんてことになってたりして……(可能性高い)。


ま、そんなことをふと思うほどにここ二日ばかり漫画三昧だったんで。
そしてあらためてわたしは漫画好きだなぁ、と。小説と同じくらい好きだなぁ。
良い作品ばかり読んでるせいもあるかもしれませんがね。


というわけでレビューいきまっす!
★『君に届け

君に届け 1 (マーガレットコミックス)

君に届け 1 (マーガレットコミックス)

君に届け 2 (マーガレットコミックス)

君に届け 2 (マーガレットコミックス)

女子高生が主人公の漫画を買って読むのは久しぶりかもしれない。やっぱり年齢に応じて変わっていくものかと思ってましたが、そうではないみたいですね。良い作品は良いのです。
主人公の黒沼爽子は、黒髪ロングで青白い顔色のためか陰気に見られ、「霊感がある」との偽情報のせいもあって、まわりからは「貞子」と呼ばれるちょっと孤立した存在。思ったことを口に出せないため、誤解されやすく友達もつくれない。そんな爽子のあこがれはクラスメイトの風早くん。クラスの中心的存在で誰からも好かれ、他のクラスメイトが嫌煙しても普通に爽子に話しかけてくる。自分とはまるで正反対の存在だ。一方風早は、爽子と話す機会が増えることによって、実は一生懸命で素直で天然ボケな、爽子のかわいい性格に興味を持つようになる。
やっぱギャップは重要なアイテムですね。
そして風早くんと同じくらい重要キャラなのが、ヤンキー系の吉田千鶴とギャル系の矢野あやねの二人組。千鶴とあやねはひょんなことから爽子のボケた一面を知り、孤立しがちな爽子に何かとフォローを入れるように。そして2巻ではまさにこの三人の関係<友達>がメインテーマとなる。
「友達」に慣れていない爽子の性格、そして誤解が積み重なって、爽子と二人の間に亀裂が走る。
「……しってる? 友達ってね 気づいたら もう なってんの!」
そうなんです。そうなんだけど、それを知らなかったんですよ爽子は(涙
も〜ありえないくらいにピュアピュアな物語に、姐さんも泣けてきますとも。


で、主人公と主要キャラをすっ飛ばしつついきなり脇役クローズアップしちゃいます。
千鶴の幼なじみで、かなりさっぱりした性格のため、爽子とも普通に接する龍です。
爽子がわからなくてへこむ千鶴。千鶴は子供のときからへこむときは玄関前と相場が決まってるので、トレーニング帰りの龍は玄関前でたたずむ千鶴に声をかける。

ええぜひ!
そして千鶴の悩みをきちんと聞いたあと、「本人に直接聞け」と的確なアドバイスを。そして……

ああ…もう……ファンクラブでもあったら入りたいくらいですヾ(ーー )ォィ
本当は一人一人たっぷりと取り上げたいくらいにこの漫画は素敵なキャラばかりなのですが、あえて龍。どうしても龍。本当にスミマセン。
今後千鶴との恋なんかにも発展しちゃうんでしょうか。漫画で幼なじみといえば、そりゃあねぇアナタ。千鶴も好きなので、ぜひぜひその展開も期待したいです!


そういえば爽子と風早くんのほうは、まだまだ恋人への道のりは遠そうです。こんなにあからさまに気にかけてるのにかわいそうな風早くん。爽子のなかでの風早くんへの思いは、尊敬40%、感謝50%の存在が大きすぎてほのかな恋心10%が寄り切られちゃってます。ましてや(爽子とって)すごい存在である風早くんが自分のことを恋愛対象としてるなんて思いもよらないことでしょう。しかししかし……なにせ風早くんはモテモテなのです。千鶴・あやねのウワサ事件も裏で操っていた、風早くん狙いのカワイコちゃんが今後も活躍して、爽子を窮地に立たせそうな予感。でも本当に心を通わせあった千鶴・あやねがいれば大丈夫!!と信じたいところですが……。



★『溺れるナイフ

溺れるナイフ(1) (講談社コミックス別冊フレンド)

溺れるナイフ(1) (講談社コミックス別冊フレンド)

溺れるナイフ(2) (講談社コミックス別冊フレンド)

溺れるナイフ(2) (講談社コミックス別冊フレンド)

溺れるナイフ(3) (講談社コミックス別冊フレンド)

溺れるナイフ(3) (講談社コミックス別冊フレンド)

この人の作品は『ピースオブケイク』しかまだ読んでないのですが、それと同時に今も連載されている本作もやはり気になって買ってしまいました。
いやーこれが良かった!ピースオブケイク』はゆったりとした流れだし長編になりそうな感じなのでまだ総評は出来ませんが、現段階ではこの『溺れるナイフ』のほうが好きかも。


夏芽は小学六年生にしてモデルをちょこちょここなし東京で楽しく生きていたが、父親の「実家の旅館を継ぐ!」という決断によって思いっきり田舎で生活することに。海に面したマニアックな観光地・浮雲町。東京育ちの夏芽には何もかもが異世界だ。うんざりした夏芽が夜中に一人で海辺まで行くと、泳いでいた一人の少年と出会った。あまりの強烈な存在感。「神さん」の使いにちがいないと信じ込むほどに……。
その少年は同級生で、地元を経済的にも信仰的にも牛耳る一族の跡取り息子・航一郎。当たり前のように一目置かれて、自信たっぷりで、でもたんなるお坊ちゃんとはかけ離れた雰囲気の航一郎から、夏芽は目をそらせない。


彼を手に入れたいから、彼に勝ちたい。
一度は離れるつもりだったモデル業に復帰する夏芽。「好き」であるかどうかもわからないうちからただ惹かれた、彼の興味を勝ち得る人間になるために。


この町では異質である夏芽が普通に見えるほどに、航一郎のキャラがすごい。

「じゃが夏芽はあかん 俺のモンじゃ」
えっと……この当時小学六年生ですから。そんな小六いませんから。
二人が中学生になって、付き合い始めても航一郎のキャラは不変です。


航一郎が嫌がるだろうと当然のように芸能界の仕事を止めようとする夏芽に
「ちゅーかよう おまえが仕事しようがしまいがおまえのことじゃ でもよう 反対されようとなんじゃろうと おまえは自分の武器使ぉて したいようにしよるんかと思うとった それに伴う覚悟もあるんかと思うとったわ それが面白い思うたのによう」
完全否定!! というか中学一年生でここまで理性的に喋れる人がいたら出会いたかったぜ! しかもまたこの広島弁系のなまりが胸をつかみますね! 「方言喋る女の子はかわいい」とほざく男子とまったく同じレベルで!
いやいやいや……そうじゃなくて。このシーンを読んだとき、あれ?こんなシーンどこかで見たぞ? こんなめんどいオトコいたぞ? なんだっけなんだっけ……としばらく頭を悩ませてやっと正解に行き着きました。


Paradise Kiss』のジョージじゃないか! たしかジョージは紫に同じことを言ってました。引っ張りだしてきましょう。

「おまえが昨日の夜 自分がモデルになる事より おれと寝る方が大事だって考えたなら ふざけた女だと思っただけだよ」
言ってることは同じですね? 自分自身の意思より恋愛感情を優先する女を軽蔑するタイプですね?
もうちょっと古いとこいくと『ホットロード』のハルヤマもそうだった気がする。「俺がいなきゃダメな女になるな」みたいなことを和希に言ってたような。


こういうタイプの男は本当にいるんですかね?
航一郎、ジョージ、ハルヤマの共通点は多いです。
・カリスマ性&自信たっぷり
・女の扱いが上手い
・興味なくなると一気に冷たい
・家庭環境が複雑
少女漫画の登場人物としてはたまにみかけますが、あまり実際にこういうオトコとは出会いませんねぇ。こういうのは本能的に避けてるんで視界に入らなかったんでしょうか。そんな自分の数少ない男性遍歴はどうでもいい。話を戻せ。


ただ航一郎は年齢もあるかもしれないけど、とても心の揺れが大きくて、たとえば夏芽に対しても、自分の好きなようにやってほしいという気持ちを前面に出しながらも、でも実は他者に露出するような仕事はしてほしくない、そういう思いも垣間見える。そういう部分があるからこそ可愛く思えるのだけどね。


そして航一郎とカナの関係も気になります。なんか精神的SMのような……(一応中学生の話ですが)。妙な心のつながりを感じてしまいます。


二巻の終りくらいから徐々に登場してくる、夏芽の粘着質なストーカー。もーこの3巻の終りではえらいことになってます。一刻も早く続きが読みたい! ラッキーなことに今週末に4巻が発売されるそう。あーよかった。


最後にラブラブなシーンでもどうぞ。