シュミじゃないんだ(三浦しをん)★★★★
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2006/10/01
- メディア: 単行本
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紹介してあるBL漫画をまったく知らないのが悲しいくらい、楽しいエッセイだった。とはいえBLそのものにはあまり興味はないものの、年々書店における陣地を広げつつある、BLの魅力とは何かということに興味シンシンなので、読んでて楽しかったんですけど。それそころか三浦しをんの熱量に押されまくって、ちょっとこのジャンルにも手を伸ばすべきかなんて真剣に考えてしまいました。
なぜ「ボーイズ・ラブ」なのか。
「どうして好きなのか」という質問への自分なりの答えも、この連載を通していろいろ考えてきたつもりではある。
関係性についての物語が多いから。
恋愛シミュレーションを、一歩引いた視点から楽しめるから。
登場人物の年齢や外見的特徴への規制が、少女漫画よりもゆるいので、さまざまなタイプの男が出てきて嬉しいから。
などなど。ボーイズラブ漫画を好きな理由はほかにもいっぱいあるが、しかし「好き」の理由を言葉で説明するなんて、野暮の骨頂だと思う。つまるところ、
「私の魂が、あなたを愛さずにはいられなかったから!」
としか言えません。
そうだよなぁ。ついつい特別視されちゃうジャンルではあるけど、わたしだって「なんだって君はそんなにアホみたいに小説や漫画を読むのかね?」と尋ねられても即答は出来ない。BLだろうがSFだろうが映画だろうが難解純文学だろうが、全部同列なエンタメじゃん?っていうのはあまりに大雑把でしょうか?
ん〜でもやはり、何故BLなのかということはまだ理解できてないわけなんですけども……。
このエッセイ集には特典で三浦しをん書き下ろしのボーイズラブ短編小説が!
ん〜男同士だからという嫌悪感はありませんが、片方が冴えない中年教師というのがちょっと萎えました。まぁ好みの問題ですが。わたしは男×女というカップリングでも、男×男のBLでもオジサンオジサンしてるキャラはダメだなと……、無意味な確認をしてしまいました。
ジェラールとジャック (白泉社文庫)(よしながふみ)
- 作者: よしながふみ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2004/05/01
- メディア: 文庫
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ボーイズラブは性に合わないと言いつつ、あっさり買ってきちゃうこのノリはどうなのか。でもハマリはしませんけどね(たぶん)。ノーマルな小説や漫画でさえ収集つかなくなってる我が家へ、新たな潮流は断固阻止しなければ……。
でもね、この作品はホント素晴らしかったです。
この作品は上で紹介したエッセイで熱く紹介されていたんで気になってしまって、でもよしながふみの作品は多少読んでるんで大丈夫だろうとタカをくくって買ってみたのですが、まぁこれががっつり男同士の恋が描かれていて。
フランス革命前夜、成り上がり市民のジェラールと、もと貴族で売りに出された男娼のジャック。ジャックの初の客となったジェラールは「一人で何が出来るものか」と、身請け金を払ってジャックを外に放り出す……。
深いんですよ。こんなにも「愛」を深刻に繊細に描いた作品は、そうはないと思います。垣根を越えます。一世一代と思える恋の相手への失望によって深く傷ついたジェラールの心。最初は大嫌いだったジェラールの心の傷を知るにつれて、惹かれていくジャック。これは恋?なんて思いながらもすれ違っちゃう二人の心に胸がキュンとしちゃうのです。自分的にはまだ受入れがたい男×男という設定すら、もうそういう問題じゃないから!と切り捨ててしまうくらい、純度の高い愛の物語でありました。
で、関係はないけど反応を見たいので男の子にも読ませてみようっと。
パンク侍、斬られて候 (角川文庫)(町田康)★★★★
- 作者: 町田康
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/10/01
- メディア: 文庫
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読もう読もうと思ってたうちに文庫化してくれてラッキーな一冊でございます。
江戸を舞台にした文学的SF? <腹ふり党>の出現によって藩が滅びる可能性もあると言ってしまった十之進のせいで、なぜか滅んだはずの<腹ふり党>を復活させるハメに……!?
なんなんでしょう? あの傑作『告白』へと繋がる一作であるような。とにもかくにも、文学上における「笑い」の第一人者は町田康だと、再認識させていただきました。文章によって人を笑わせるのはかなりテクニックが必要だとわかっているからこそ、彼の文章には平伏です。アホらしいけど、グイグイ読めました。そして何故だか他人事とも非現実とも思えない………。