自主規制か予防線か……検閲前夜か。

そんな『塩の街』、著者あとがきで気になる部分が……(以下引用)

ちなみに今『図書館戦争』シリーズという検閲が合法となった社会でのラブアクション物(すみません珍妙なカテゴリーで)を書いている関係でとことんぶっちゃけてしまいますが。
この本の12頁「外国人のマーケット」、「大陸系の商人」というのは私が応募時に使っていた言葉とは置き換えられています。下読みの友人にも「これは却ってヘンじゃないの?」と言われました。確かにヘンだと思います、最初は漢字たった二文字で簡潔に表現してありました。
ですが私が受けた説明は「その言葉を使うと引っかかる人や団体が出るかもしれないから」で、これはかなりあがいたのですが、編集部から許可が下りませんでした。でも私が昔読んでた少女漫画では普通に使ってたよ!? そして私が持ってる差別用語一覧にも載ってなかったよ!?
ここで言いたいのは「編集部暴挙!」ということではありません。
自主規制という名の検閲前夜はもう訪れているのかもしれないな、とかそんなことを私が個人的に思ってみたり見なかったりしたというだけの話です。

「外国人のマーケット」「大陸系の商人」のもとの言葉は、文脈を読む限り「闇市」かな?と、わたしは思いました。もしそれがわたしの予想どおりであるとするならば(違ってたらスミマセン)、出版社のヘタレっぷりを一読者として積極的に批判したいです。
最近ホントに、「受け手」側からの批判を予測して、過剰に自粛するというケースが多いように感じます。いろいろな大人の事情があるにせよ、出版社自身が過剰に自粛するということは、本来守るべき言葉を殺す行為以外のなにものでもないのでは? もちろん発信側による自主規制はある程度必要だと思います。無法地帯になってしまったらそれこそ、権力によって「検閲」される可能性も出てくるのですから。微妙な問題であるのは承知してますけど、「批判からの防御」という策に傾きすぎてる気がするんですよね。
誰もが不快感を受けない作品なんてこの世にあるんでしょうか?