TVブロス最新号…

毎回楽しみにしてる豊崎由美氏の書評コラム「帝王切開」なのだけど、今号の毒舌っぷりは凄いです。ターゲットは15歳の少女が書いたということでしばらく前に話題となった、河崎愛美の『あなたへ』。中身をぶった斬っただけでは収まらぬ刀は、この本の帯に絶賛の推薦文を書いた池上冬樹にまで襲いかかる……「これを本気で褒める文藝評論家に仰天!」。社長、面白すぎます。
でも帯の推薦文って、知らない作家の作品を買おうかどうしようか悩んでるときは、けっこう重要なんだよね。わたしの場合、好きな作家が推薦文を書いてたらわりと信頼して買ってみる。山田詠美とか、恩田陸とか。好きな作家の好きな作品っていうのはアタリが多い。キングは別ですけど。書評家では、昔は北上次郎をとても信頼してたけど、ちょっと読書の好みが変わってきたので、昔のように北上次郎のコメントがついてたら買うってことも少なくなった。いや信頼度が低くなったわけでは全然ないんですよ? 彼は国内の家族小説とか青春小説とか恋愛小説とかの若手の小説にコメントを付けることが多くて、わたし自身がそこらへんをあまり読むことが少なくなったせいで、買う機会が減ったというだけです。やっぱ今一番信頼してるのは豊崎由美ですかね。最近は彼女のコメントが帯についてたら間違いなく買ってるんだけど、今のところ面白いほどにハズレがない。あと大森望もわりと信頼している。エンタメ性の高い作品が多い気がする。
とまぁ、人それぞれだけど帯を参考にして買ってる人は多いと思うのよ。だから小学校の先生じゃないんだからさ、無理矢理褒めどころを見つけて書いてほしくはないよね、消費者として。でもそのコメントを信頼して買った人が読んでがっかりしたら、次からその人が勧める作品を買わなくなると思うので、自分の首を絞めてるだけな気がしなくもないよね。音楽や芸術と同じで、絶対的な評価のない世界だからこそ<評論家>としてその発言に重みがあるのに、それを逆手に取っちゃったらダメだと思う。今回は同業者に斧を振るってくれた豊崎由美に拍手です。
とはいえ、わたしこの作品読んでないんですけどね。でもこのコラムであらすじ読んだだけでお腹いっぱいになっちゃった。でも逆に恐いもの見たさで読んでみたいという気も……。