銀河のワールドカップ(川端裕人)★★★★

銀河のワールドカップ

銀河のワールドカップ

川端裕人読むのはちょっと久しぶりかな? 保育士たちの物語『みんな一緒にバギーに乗って』で初めて読んでそれがとても面白かったのでその後すぐに『夏のロケット』を読んでそれも超面白かったのだけど、他の作品を追いかけるのを忘れてた。なんか毎日のように、この人の作品は全部読もう!って宣言してる気がするけど、一定期間おいてしまうとすっかり記憶から抜け落ちるざる頭。なんとかして。
で、タイトル&装画を見れば一目瞭然、サッカー小説ですね。ワールドカップ直前、いい時期にこれを読めて幸せです。本当は発売された時から気にはなっていたのだけど、そのちょっと前に小学館発の公園だのリフティングだのというサッカー妄想小説を読んだトラウマが残ってたので、今はサッカー小説は勘弁…と、ちょっと敬遠してしまっていたのだ。


で、この作品ですが。すごく楽しかった。出かける前に触りだけでも読んでおこうかな、と読み出したら最後、一気読みしてしまいました。
主人公は、しばらくサッカーの世界から距離を置いていたもとJリーガーの花島。ぼんやりと佇んでいた公園でサッカーのミニゲームをしていた少年たちと出会ったことが、花島の運命を変えていく……。のちに花島が率いるチームの面々がいいんだよね。技術は今ひとつながらゲーム全体を見る才能のある翼、才能・技術ともに同世代では抜きん出ている三つ子の虎太・竜持・鳳壮、ミーハーだけどかなり攻撃的ですばしっこいFW・エリカ。その他も味わい深いキャラはいろいろいるんだけど、そこらへんは読んでのお楽しみってことで。
そしてこの小説の最大の魅力は、いかに<チーム>としてまとまっていくところ。それも単純に<One for All>じゃなくて、個人の長所を生かしながらさらに<チーム>としての機動力を上げていこうと選手たちがそれぞれ考えている部分だと思う。ラストもそれはあり得ないでしょ、と思いつつ胸が熱くなった。
やっぱこれでしょ、スポーツ系青春小説は。ワールドカップも目前ですし、気分を出すためにもどうでしょうか。サッカーに興味ない人にもオススメな一作です。