ガールズ・ブルー (teens’ best selections)(あさのあつこ/ポプラ社)

ガールズ・ブルー (teens’ best selections)
『バッテリー』や『No.6』を読んで「大人向けの小説も書いて欲しいなー」と思う気持ちと「いやいや児童文学の世界に固執して欲しいなー」と思う気持ちがあったのだが、そんな気持ちのなかではこの小説丁度よく中間な感じ。主人公が高校生の女の子だもの。これまで読んだあさの作品のなかでは最年長ですね。
小さな市内でもバカ学校として有名な高校に通う女の子・理穂を主人公とした、なんてことないひと夏の物語。失恋に花火、そして海―。なんてことない普通の夏なんだけどね。なんでしょう、筆力でしょうか。それぞれの場面がビジュアル的に鮮やかに浮かび上がってくる。ついでに自分の高校生時代も思い出したりして…。ちょっとキャラ設定が理想的すぎるきらいがあるけれども(こんな素敵な家族や幼なじみや友達がいるわけない!というか<暗>の部分がまったく出てこない)、しずかに心にしみる作品でした。
あさのあつこはこれからどういうふうな作品を書くんだろう。最近は森絵都笹生陽子みたいに児童文学から大人向け小説に移ってくる人が注目されてるし。児童文学作家としては突出して注目を浴びてる作家だし、きっといろんな出版社からお願いされてるんだろうな。…ま、とりあえず『No.6』の続きを待つか…。