■きのう何食べた?(6) (モーニング KC)
2巻でのエピソード(離婚で夫に息子をとられた
依頼人にシロさんも付き合って毎月遊園地に行くことになった)がこの6巻で「3年越しの面倒な仕事からこれで解放されたぞ!」というシーンに繋がり、あぁこの漫画の中で容赦なく時は流れていたのだなと、それが新鮮に感じた。
よしながふみはこの物語を遠くない未来にきちんと終わらせるんだろうと思う。二人の関係も相変わらずラブラブではあるけど、やっぱり最初の頃に比べると徐々に自分をさらけ出してるのが垣間見えて面白いしとても羨ましい!
青椒肉絲、さっそく真似させてもらいましたよー。
読了日:05月28日 著者:よしなが ふみ
■死命
ドラマチックにしよう!という意図があけすけで何とも興ざめ。犯人と刑事のどちらもが末期がんが余命数ヶ月て。子ども時代のトラウマエピも焦らしたわりに拍子抜け。そもそも余命を知ってから殺人行為に走るなんてそれって
サイコパスか?そもそも
サイコパスってどういう思考を持っているかわからない理解できないから怖いのに、この小説ではご丁寧にとつとつと内面を語っちゃてるうえにその内容がフツーすぎる!うーん著者の作品好きだっただけに今回はかなりガックリです。
読了日:05月18日 著者:薬丸 岳
■毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記
もし彼女が真犯人ならば稀代の女
シリアルキラーであるのみならず証拠不十分で無罪になる可能性もゼロではないという完全犯罪性も含めて犯罪史上に名を刻む事件であることに間違いないのに、やれ佳苗がブスだの売春で身を立ててただのレベルの低い騒がれ方をしたことでこの事件の輪郭がぼやけている。本書も事件そのものというより、佳苗という異物に触れた人々の反応を通して見えるものを描くことに重きが置かれているように感じた。とはいえ被告席に座る佳苗のファッションから肌つや、小さな動作まで見逃さない著者のレポートから立ち上がる佳苗像は圧倒的。ぐいぐい読ませる一冊です。
読了日:05月14日 著者:北原 みのり
■隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)
これを読みながら思い出したのは日本で起きた女子高
生コンクリート詰め殺人事件。
サイコパスは理解できない共感できないから自分(たち)とは違うと距離を置くことが出来る。でも本作で描かれるような集団による虐待は、自分も加害者になり得るのだという恐怖に思わず眼を反らしたくなる。解説でも触れられてる通り、本作では主人公の立ち位置が絶妙。その気はなくても加害者側に取り込まれる快感、最終的には良心を取り戻すなど、こんなにも恐ろしい物語を前に読者にとっての良い案内人になってくれている。初ケッチャム、超面白かったです!
読了日:05月09日 著者:ジャック ケッチャム
■猫鳴り (双葉文庫)
まほかるさんの作品はほぼ読んでるけど本作に手が伸びなかったのはタイトルや表紙に猫ラブ!な空気を感じ取ったから。いや別に猫嫌いじゃないんだけど、いわゆる猫好きな人たちによる猫モチーフの作品はちょっと距離置いてしまう。でもそんな必要はなかった!やっぱりまほかるさんだもの!ある風変わりな猫との関わりを通して、問い直されるのは関わった人間たちの生き方だ。猫の動作一つに現実に苦しむ人間たちは意図を感じて救われる。でもそれでいい。そこから立ち上るたくましさに胸が熱くなる。オススメです。
読了日:05月09日 著者:沼田 まほかる
■太陽は動かない
東アジアを舞台に新エネルギーをめぐる謀略を探る産業スパイたちの暗躍を描いたエンターテイメント。冒頭からスリリングで一気に引き込まれる。ただこれは本当に
吉田修一なの?という疑問は解消しないまま…。いや面白かったからいいんだけどあまり深みはないんだよね。そもそも「
吉田修一らしさ」というものが存在するかどうかも疑問ではあるけど。そんなライトな空気とキャラ小説としての魅力も併せ持ってるのだからぜひシリーズ化してほしい!
読了日:05月09日 著者:吉田 修一