新世界より (上) 新世界より (下)(貴志祐介)

新世界より (上)

新世界より (上)

新世界より (下)

新世界より (下)

読んだのがしばらく前なので、ざっくり感想で。
面白かったです。ビックリした。ミステリ作家と決めつけてたんで余計に。これ、思いっきりSFなんですよね。たぶんSF作家によるSF小説ほどの緻密さとかはなくても、世界観や設定はしっかりしてるし、壮大な物語なのに半径1kmくらいの物語でもあって、人間ってそもそもどういう生き物なんだろってことまで考えながらぐいぐい一気読みさせられちゃいました。とくに設定の上手さが生きるラストの怒濤の展開はたまりません。浦沢直樹とかにコミカライズしてもらいたい。もうまともなオチはないと周知の事実なんだから、こういうぴったりな良作をあの技術で演出してくれれば誰もが大満足の傑作産まれること間違いなし!……って、話が逸れました。しかも余計なお世話だ。まともなオチなくともあんだけメガヒットだし、うん。
とにもかくにも、エンタメ系の面白い小説読みたいって人には誰それ構わずオススメな一作です。SF苦手な人も大丈夫。むかしばなしのような導入部に入っちゃったら血みどろのラストまで直行ですから。
で、また全然違う話なんですけど、男性作家による女性が一人称の小説って妙な違和感がときどきあるのは、なんなんでしょう。ただ読むこっちが男性作家だから主人公は男性だと思ってるゆえなのか。この作品も明らかに記されるまで、語り部は男だと思ってたんだよね。フラットな文章だから余計に? 妙な女言葉とかで強調されるより百倍もマシだけど。なんていうか、それより一人称であるがゆえの、思考の問題? 男だから女だからとおおざっぱに決めつけるのはどうかと思うけど、一人称の文章では言葉やエピソードの組み立てかたが性差を感じさせる気がするのだけど、どうだろう。この小説にそこまで求めてるわけではないのでいいけど、ちょっと気になったので、それだけです。