流星の絆(東野圭吾)

流星の絆

流星の絆

惨殺された両親の仇討ちを流星に誓いあった三兄妹。
「兄貴、妹は本気だよ。俺たちの仇の息子に惚れてるよ」
14年後―彼らが仕掛けた復讐計画の最大の誤算は、妹の恋心だった。

んーどうなんでしょうね。物語の3分の2くらいまでを説明しちゃってるこの帯は。ま、これ自体がオチではないとしても、実際読み終わった今となっては帯にもオチにもそう重きはおけないのだけど。
で、中身もどうなんでしょうねぇ。基本的な部分ではやっぱ上手いと思うんですよ。ストーリーの組み立てかたとかは確かに。けどその基本的な部分も含めて、ちょっと古いなぁと思わされるラスト。そんないい感じに無理矢理まとめられても。
こういうのがあってもいいとは思わないではないけど、胸を締め付けられるようなミステリが切磋琢磨する中で、どうにも置き去られている感がある。半端な人情ミステリは今や物足りないなぁ。
白やら黒やらはどっちでも、でもどちらにせよきっちり振り切ってほしいし、一昔前の少女マンガの理想のようなラストではなく、前を見るにしても痛みは付随させてほしかった。とってつけたようなラストは、それまでの物語と登場人物の人生までも妙に軽々しく見せてしまう。
悪くはないんですよ、ぐいぐい読めちゃう。詰まらないわけじゃない。だけど残念な作品。無理矢理な幸せを差し込んだその意味が、本当にわからない。そのほうがより多くの読者に喜ばれるんだろうと著者なり編集者なりが思っているとしたら、本気で失望しそうになる。