残酷な神が支配する(萩尾望都)

残酷な神が支配する (1) (小学館文庫)

残酷な神が支配する (1) (小学館文庫)

当たり前ですが全然世代じゃないんで、萩尾さんの作品はとても有名な『ポーの一族』を読んだことあるのみ。『ポー』はそれなりに面白かったものの他の作品を追いかけるほどにはかき立てられずそのままだったわけですが、こないだよしながふみの対談集を読んでから、やたらこういう名作漫画が読みたくなりまして。
いやーびっくりした。なにコレ。すっごい面白いじゃん! 面白いっていうか怖いよ! 怖いけど続きが気になってしようがないよ!
あらすじさえ上手く説明できないけど、ものすごくおおざっぱに言えば、義父から性的虐待を受けた少年と、その義理の兄の、愛と再生の物語………うわ、字面だけでエグいな。いやーでもこれがすごいんですよ。
虐待という傷をここまで深く、かつスリリングに描いた漫画って他にあるのだろうか? 正直ね、読むほうも疲弊します。つい眼を背けたくなるような痛々しさではなく、逃れられない呪縛みたいなものに絡めとられてしまうのよ。主人公の苦しみの何百分の一、もしくは何千万分の一だとしても、読者に疑似体験させちゃうんだよね。だからこそ、フェイドアウトするような穏やかなラストに救われる。
あー、びっくりした。