新釈 走れメロス 他四篇(森見登美彦)

新釈 走れメロス 他四篇

新釈 走れメロス 他四篇

来ました森見登美彦の最新刊!!! これを読まずして何を読みましょうか。


おおざっぱに感想を述べると、これまでの森見ワールドはそのままに、現代小説の礎を築いた文豪たちの作品をパロッた、何とも楽しい<企画モノ>短編集であります。「山月記」「薮の中」「走れメロス」「桜の森の満開の下」「百物語」……これらの名作を元ネタに、森見登美彦が繰り広げる世界とは……!?


とはいえ、終わりの見えない小説をひたすら書いていてやたら尊大で麻雀が強い大学生・斉藤修太郎を共通項とした連作短編集なので、元ネタの小説を読んでなくても十分に楽しめる作品。実際、わたしも読んだとは思うのだけど、筋を思い出せるのは「走れメロス」だけだったりするんで……。


間違いなく森見ワールドではあるのだけど、それぞれの短編のテイストが異なっていて、全体的に濃い印象。表題作「走れメロス」なんて笑いをこらえるのが必死(スタバで読んでたんで……)だし、「桜の森の満開の下」は胸のはしっこをぎゅっとつかまれるような切ない作品。


できたらこれらの名作を今もう一度読み返して(いくつかは初読みだけど)、森見版と読み比べてみたいな。企画としてやってみようかしら。