汚れた街のシンデレラ (ハヤカワ・ミステリ文庫)(ジェフリー・ディーヴァー)★★★

汚れた街のシンデレラ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

汚れた街のシンデレラ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

アマゾンで調べたところ、ジェフリー・ディーヴァーの邦訳された初めての作品ですかね? というかビックリしました。アマゾンユーズドでの最低値が(現在)1860円! 
今日ブックオフ100円コーナーでこれ買ってきたんですけど……(・・∂) アレ?
ナ出品してみたら、誰か買ってくれるかしら?


さてさて本書のあらすじは…

一日じゅうヴィデオの貸出しなんてうんざり―レンタル・ヴィデオ店で働くルーンは、おとぎ話と冒険が大好きな二十歳。ある日、延滞ヴィデオの回収にいった彼女は、顔なじみの老人が殺されているのを発見する。現場に残されていた一本のB級映画のヴィデオを手がかりにルーンは犯人探しを始めるが、やがて彼女はマンハッタンに隠された大金をめぐる事件の渦中へと…ポップに弾けるヒロインのちょっと危ない冒険を描く快作。


さすがに展開の上手さというかぐいぐい読ませるんですよ。ラストのどんでん返しもたたみかけてくるし。
しかしなんか……チープだ。犯罪者自体がチープなのはもちろん、主人公の女の子ルーンの頭の悪さというか危険を察知する能力の欠如もなかなかのもの。読みながらそこここで突っ込みたくなる行動や思考回路がなんとも……本当にこれディーヴァーの作品か?と疑いたくなったほどだ。<夢見がち>という主人公の性格を持ってしても、ニューヨークで一人暮らしする20歳の女の子としては、あまりにリアリティーない気がする。巻き込まれ型どころか自分から巻き込まれたい型だし、なのに状況は読めてなくて被害者を増やしてしまう。どんだけヤバい状況になっても警察に助けを求めない理由は隠された大金であったはずなのに、途中から保身に変わっちゃってるし。一方で対する犯罪者たちの頭の悪さは漫画チックで笑えるくらいなので、言及するまでもないが。
というわけで、ちょっとアンバランスさを感じる一作。スピード感あふれる展開で一気読みさせられちゃうものの、主人公はじめ人間を描く部分がおざなりになってるかんじ。なーんて、ディーヴァーの作品にこんな基本的なツッコミを入れる日が来るとは思いませんでしたわ。はは。……でも、楽しかったんですよ?