誘拐の誤差(戸梶圭太)★★★☆
- 作者: 戸梶圭太
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
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本書の主人公は10歳の男の子……というか幽霊。殺されて遺棄された自分の事件に関わる人を、縦横無尽に観察しちゃう。ついでに幽霊だから(?)人の心まで読めちゃって、アホな犯人、ズレた捜査陣、一気に崩壊する家庭に、冷静なツッコミを入れて。しかし単純そうな事件は、アホすぎる犯人たちのおかしな連鎖によってズレ始める。うん、まさに思い込みが暴走する狂想曲。
後手に回る警察を尻目に、犯人が徐々に本筋からずれていく展開は見事。でも一方で、トカジ流低レベル社会のドタバタもちょっと食傷気味。それは前からそうなんだけど。ただ次こそはなんか新しいことをやってくれるんじゃないかと、毎回期待してガクッときちゃうんだよなぁ。