SWITCH Vol.24 No.12(スイッチ2006年12月号)特集:井上雄彦 「バガボンド、最後の頂へ向う旅」

井上雄彦
バガボンド、
最後の頂へ向う旅


途中から筆で書かれていることは有名だけど、今回インタビューを読んで驚いたのは、身体を描いてから服を着せていくということ。う〜ん。ものすごいパワー使ってるんですね。「筆を折るくらいの気持ち」は誇張でもなんでもないのかも。『バガボンド』は漫画だけど、井上氏の仕事は漫画家の域を超えているように思える。でも異常にも感じるストイックさを追求しつつも、エンタメ視点をおざなりにしないところが、この漫画の凄みを生み出してるのか。
この特集を読んだ後、『バガボンド画集 WATER』『バガボンド画集 墨』をじっくり見ると、ペンと筆のタッチによってどれだけ印象が変わるのか、よくわかる。また著者が黒澤映画を意識しているというのも理解できる。やっぱペンの線は現代的だ。筆の線は生々しさを感じる。実際に剣を合わせるというのは、綺麗ごとではない。至近距離でとるかとられるかという意地汚い部分までも表現するための、それを追求するために手法まで変えてしまったと思うと、ただため息がでます。

バガボンド画集 WATER

バガボンド画集 WATER

バガボンド画集 墨

バガボンド画集 墨