EDGE (講談社文庫)(とみなが貴和)★★★★☆

EDGE (講談社文庫)

EDGE (講談社文庫)

ラノベ界再注目の天才心理捜査官登場!!

という帯を見たときに、ふと思い出したんですよね。前に何かの記事で大森望氏が、ラノベにものすごいプロファイラーものがあるみたいなことを書いてたような。あやふやすぎてスイマセンってかんじだけど、この帯のアオリを見てピンと来たので手に取ってみたら、やはり解説は大森望氏でしたよ。

いよいよというか、満を持してというか、とみなが貴和『EDGE』が講談社文庫に見参。遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ。本書こそは、ライトノベル発のミステリで一、二を争う傑作、<EDGE>シリーズの記念すべき第一作なのである。

と、解説自らかなり張り切ったかんじだ。これは間違いなさそうだと、買ってさっそく読んでみた。


で、かなり驚いた。これが講談社X文庫ホワイトハートから出てたの??? ホワイトハートって中学生の頃に何かのシリーズものを読んだ記憶があるけど、こんなオカルト系ミステリが出るイメージは全然なかった。というか今ホワイトハートのHPの新刊情報とか見てたら半分くらいはボーイズラブっぽくて、なんかもう、よくわからん。とりあえず15年くらい前とはまったく変わってしまってるのだな、ということだけはよくわかった。
そんなことより本書ですよ。解説でも同じことが言われてるが、講談社ノベルズから出されても何の違和感もない作品。というか下手なノベルズより全然上手いし、大人向けだと思う。一気読みしちゃって、残りの4冊(5巻で完結らしい)も今すぐに買いにいきたいくらいだ。


爆破時刻は夕方、東京タワーやレインボーブリッジなど、都内の高層建築物を次々と爆破する、《黄昏の爆弾魔(ラグナロク・ボマー)》。何の手がかりも見つけられない警視庁はついに、最後の切り札を切る。それは現場を離れて三年は経つ、天才プロファイラー・錬摩。現場に戻る気などさらさらない錬摩だが、彼を呼び出した警視正・桜井にはどうしても逆らえない理由があった……。


冒頭からいきなり、主人公の立場が複雑過ぎ! いやだからこそ面白いんですけどね。ネタバレになるのであまり書けないけど、事件そのものの面白さに加え、錬摩という人物そのものへも興味がかき立てられるのだ。そしてプロファイリングによって徐々に犯人に詰め寄っていくあたりは、緊迫したゲームを見ているようでスリリング! また錬摩が世話してる精神障害者の宗一郎との関係も、今後さらに錬摩の内面を解き明かすに重要になってくるのだろうなと期待が膨らむ。


というわけで講談社文庫版を待つ余裕はありません。揃わないのは気持悪いけど、2巻目以降はホワイトハート版で読みたいと思います。