一、ニ、三、死、今日を生きよう! ―成田参拝―(笙野頼子)★★★★☆

一、ニ、三、死、今日を生きよう! ―成田参拝―

一、ニ、三、死、今日を生きよう! ―成田参拝―

新たな滑走路が出来た成田空港を観に行く。愛猫の一匹・モイラが唐突に死んでしまう。不毛な論争に疲れ果てる。何の関連性もないようにみえるそれらのことが、なぜかひとつの潮流のようになって著者の精神を追い込んでいく。自分を追いつめる「なにか」とは? ぐちゃぐちゃに散らばった思考の「整理整頓」を試みる私小説


という説明で合ってるか!?……と不安に思うのはわたしが『金比羅』で挫折してるからでしょうか。再チャレンジの気持ちはまだあるのですが。
「整理整頓」というのは近いようで違うかもしれません。「解明」にも近いのかな。でも自分の中のイメージでは、この作品の中で著者がやっている作業というのは、ぐちゃぐちゃになった部屋で、まずはそのぐちゃぐちゃの原因であるらしいなにか得体の知れないものを探し出し、ラベルを貼ろうとすることのように見えた。
内面へ内面へと入り込んでいく、刹那感あふれる駆け抜けるような文体に、ぐいぐい引っ張り込まれるようなかんじで、ほぼ一気読み。『金比羅』含め近作をもう何作か読んでから、もう一度再読したらさらに面白いだろうなと思う。