ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー) ザ・ポエット〈下〉 (扶桑社ミステリー)(マイクル・コナリー)★★★★

ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)

ザ・ポエット〈下〉 (扶桑社ミステリー)

ザ・ポエット〈下〉 (扶桑社ミステリー)

先日読んだハリー・ボッシュシリーズ最新刊『夜より深き闇』(上・下)は、もちろんボッシュが主人公であるのだが、ノンシリーズであるこの『ザ・ポエット』の続編でもあるという、ファンをうならせる作品だったわけだが。残念なことにわたしは『ザ・ポエット』が未読だった。もちろん未読でも十分に楽しめたが、ちょっと悔しかったのも事実。だって『ザ・ポエット』って絶版とは言わないまでも、なかなか書店で見かけない作品だったんだもの。それが数日後、新刊の平台にある『夜より深き闇』の隣に『ポエット』が……!! この最新刊の発売にあわせた再販のようなものか。『夜より深き闇』の興奮さめやらぬわたしはもちろん喜んでレジに向かったが……。


さて読むかとカバー返しにある登場人物などを眺めていたときにハッと気付いた……わたしは犯人を知っている。
なんてこったい。『夜より深き闇』と本作の犯人は同一人物なのだ。ていうかわたしはなぜそのことに気付きもせずに、嬉々として読み始めようとしてたのか。たった数日の関連性さえ把握できないわたしの頭をなんとかしたい。
コナリーの作品は、正統派なハードボイルド警察モノで、ラストの二転三転するどんでん返しが魅力なのだ。その最後のカードだけ知ってるなんて……。
と、ちょっと気落ちしたものの、せっかくだし読むことにした。そして心配は杞憂だった。事件についてまで詳しく知っていたわけではないので、最初は普通に楽しめたし。一方で知ってる名前が出てくると妙にドキドキしたり、ラスト近くになっては「違うよ! そうじゃないんだよ!」と主人公に話しかけたい気分になったり。ま、負け惜しみに近いですが、犯人を知っていても十分に楽しめるのがコナリーの作品の底力ってことで(無理矢理)。


あらすじ。
殺人課の刑事である双子の兄ショーンが自殺したと知らされた新聞記者ジャックは、その死に疑問を抱きひとり調査を開始する。刑事の自殺という共通項で全米のデータを洗い出したジャックは奇妙な共通項に戦慄する。自殺した刑事たちが直前まで担当していた事件、そしてエドガー・アラン・ポーの引用。急速に展開しようとしている事件はFBIの手にゆだねられ、知りすぎてるジャックとFBIは取引をすることになるが……。


うん、面白かったです。まーこの真犯人についてはあまりに伏線なしなので唐突に感じるかもしれない。なにせ真犯人を知った上で読んでるので、そこらへんがよくわからない。でもコナリーらしいスリリングな展開満載な一作でしょう。


やっぱ一度、コナリーの作品をまとめて読み返したい。わたしのあたまのなかではぐちゃぐちゃなんで。
個人的なメモですが、コナリー作品リストを。

『ナイトホークス』扶桑社ミステリー HB
『ブラック・アイス』扶桑社ミステリー HB
『ブラック・ハート』扶桑社ミステリー HB
『ラスト・コヨーテ』扶桑社ミステリー HB
『ザ・ポエット』扶桑社ミステリー
『トランク・ミュージック』扶桑社ミステリー HB
『わが心臓の痛み』扶桑社ミステリー
『エンジェルズ・フライト』扶桑社ミステリー HB
『バッドラック・ムーン』講談社文庫
『夜より暗き闇』講談社文庫 HB
『シティ・オブ・ボーンズ』ハヤカワミステリ文庫 HB
『チェイシング・リリー』早川書房
『暗く聖なる夜』講談社文庫 HB
『天使と罪の街』講談社文庫 HB

HBはハリー・ボッシュシリーズ。『チェイシング・リリー』以外はほぼ読んでると思うのだけど、初期の作品なんかは図書館で借りてたりして読んでたのでよくわからない。というか手元にあるものでもほとんど忘れちゃってるしね。ここはやはり全部手元に集めて、大体のあらすじをメモしておきたい。次の作品のために。