トランスアメリカ


映画館も行きはじめると、腰が軽くなるんですかね。「ゆれる」と同じくらい観に行きたかった作品を早速観に行ってきました。
体は男性、心は女性、というトランスジェンダーなブリー(もとスタンリー)。性転換手術を一週間後に控えた彼女に、スタンリーの息子と名乗る少年が留置所に拘置されているという知らせが入る。たった一度の女性との性交から子供が生まれていたと知る由もなかったブリーは、自分が父親であることを隠して息子トビーを迎えにいくはめになるが……。


いやー、予想以上にいい映画でしたよ。くすくす笑えてじんとくる、ハートフルな物語。
この作品でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたらしいフェリシティ・ハフマンの演技はもう素晴らしいっていうか……完全にオカマです。普通、このストーリーだと絶対に男性俳優をキャスティングすると思うんだよね。だってトランスジェンダーの男性の役を女性が演じるとしたら、相当なハンディキャップがあると思うもの。でもね、演出上でいろいろあったんだろうけど、本当にこの映画に置けるフェリシティは生粋の女には見えなかった。すべてのシーンに置いて「女」を演じようとしてたから。しかも「やり過ぎ」な感じはなく、本当にいいさじ加減。
そして何といっても注目は息子トビー役のケヴィン・セガーズ! 例えるなら(全盛期のディカプリオ+トム・クルーズのエキス少々)×0.85みたいな? とにもかくにもそうとう美男子。男娼としての自分の価値を惜しげもなく利用しつつも、ブリーのそばで徐々に素顔を見せていく、そんな繊細な役をしっかり演じていて。今後の出演作を思いっきり間違わない限り、ハリウッドを担う若きスターになる可能性大です。
本作はアメリカでもスタートは単館公開だったらしいがクチコミで評判が広がって公開館数が増えたらしい。日本でもかなり単館だが、出来るだけたくさんの人に見てほしいなと素直に思える作品だった。