月が100回沈めば(式田ティエン)★★☆

月が100回沈めば

月が100回沈めば

デビュー作『沈むさかな』で第1回「このミス」大賞優秀賞を受賞した著者による、二作目が本書らしい。
舞台は渋谷、高校生のコースケは不思議なアルバイトをしていた。毎日好きな時間だけ事務所の個室で遊び、アンケートに答える、という目的のよくわからない<サンプル>になる。両親以外にこの仕事について口外しないこと、またサンプル同士は仕事場以外であっても話しかけてはいけないということ、どういうということもないそのルールさえ守れば楽に金の入る仕事だ。ところがある日コースケは、同じサンプルであるらしいアツシから話しかけられ、時折行動をともにするようになるが、そのアツシがぷっつりと姿を消した……。
悪くはないが新鮮味もないな、というのが正直な感想。夜の渋谷を舞台に消えた少年を追う!ていう手垢のついたストーリーもそうだが、コーと父親との関係においても予定調和な感じ。テンポがいいのでぐいぐい読めるんですけどね、でも読後感は薄い。キャラもちょっとなぁ、印象的なようでそうでもなく、とくに主要キャラに好感が持てないのが悲しい。
う〜む。ミステリに必要なものって何なんだろうなぁ。