いつもの朝に(今邑彩)★★★★

いつもの朝に

いつもの朝に

この人の作品を読むのは初めて。これで<いまむら>って読むんだ。ふ〜ん。
出来のいい兄、出来の悪い弟、すべてにおいて正反対な兄弟。ある日弟が偶然見つけたテディベアのなかに隠された手紙が、自分の出生にまつわる秘密と母親のおぞましい過去を暴きだす。そしてその事実は、二人の少年を絶望へ導く……。
面白かった!読み応え十二分。一気読みでした。
画家である母親の描く奇妙な絵からはじまるこの物語は、恐ろしくて悲しくて、でも最後に希望がある。キリスト教にまつわる色づけもホラー的なあおりとして上手いし、何よりスリリングな展開もたまらなくて、夢中になって読んでしまった。ラストもね、良かったです。「ホラーは現実だけでもうたくさん」という著者の気持ちもわかるし、このラストだったからこそとても満足できたんだと思う。
この人の他の作品も読んでみたい。