クドリャフカの順番―「十文字」事件(米澤穂信)★★★★★

クドリャフカの順番―「十文字」事件

クドリャフカの順番―「十文字」事件

出会えるのをずっと待ってた作品ではあるけど、いざ本屋で見つけると少し悲しくなった。これでこの人の作品の未読本はなくなるのか……。
古典部シリーズ最新作です。
ついに文化祭。ちょっと問題を抱えつつも文集を出すことが出来た古典部福部里志は存分に文化祭を堪能、伊原摩耶花は掛け持ちの漫研のほうで頭が痛く、千反田えるは慣れぬ営業活動で大わらわ、そして折木奉太郎は……店番。時を同じくして学園内で奇妙な連続盗難事件が起こっていた。わざわざ犯行声明を残すその事件に、やはり千反田があのひと言……。
うん、今回も良かったな。というか、巻を重ねていくごとにこの4人の親密度が高まっていくようで、それが楽しいのかも。ほのかに見え隠れする恋愛感情も気になるし。謎そのものに関しては第一作の『氷菓』がほろ苦くて一番好きなんだけど、わくわくするプロセスや鮮やかな幕引きなど、全体のバランスでは3作の中でこれが一番いい。あちらこちらにシーンは飛ぶのだけど、どれもきちんと伏線になってるし。それに4人はまったく違う意図でそれぞれ行動してるのに(奉太郎に至っては行動すらしてない)、事件に関する様々な情報を得て集まるあたり、まさに「チーム」ってかんじで読んでいて楽しかった。あと、小麦粉の件は良かった。ウッカリ惚れそうです。
というわけで次作もめちゃくちゃ楽しみです。