性交と恋愛にまつわるいくつかの物語(高橋源一郎/朝日新聞社)★★★★★

性交と恋愛にまつわるいくつかの物語
文芸誌とかでよく顔も名前も見るんだけど、この人の作品読むのは実は初めてだ。
これは「性交と恋愛にまつわるいくつかの物語」だ。
一番始めに収録されてる「キムラサクヤの『秘かな欲望』、マツシマナナヨの『秘かな願望』」がインパクトあって引きずり込まれた。「もてたい」という欲望に突き動かされて生きる「短小で包茎の引きこもりの男」=キムラサクヤ。「美しくなりたい」という願望にまみれて女性誌をめくる「ブスでデブの冴えない女」=マツシマナナヨ。二人のイタイ人生と運命的(?)な邂逅が、皮肉とユーモアたっぷりに描かれる。モテない男が果てしない馬鹿だったら、もしくは美しくない女が無能な阿呆だったら、もうそこにはシュールな喜劇しかない。そりゃ撮るよ、監督も。いやはや、面白うございました。