図書館戦争(有川浩/メディアワークス)★★★★★

図書館戦争
来ました有川浩の最新刊!期待を裏切らないよ、この人は。

公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代、超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館! 狩られる本を、明日を守れ!

何せ自由を守るため図書館が独自に軍隊を持っているというとんでもない設定ではあるけど、著者曰く「月9連ドラ風」(笑)。
ヒロインは男子顔負けの体格と運動神経で図書特殊部隊に配属された新人・郁。高校生のころに書店で自分が欲しかった本を守ってくれた図書隊員にあこがれたことがきっかけで図書隊員を目指し、知識は追いつかないが根性の座った女の子だ。その郁が唯一苦手としてるのが直属の上司である堂上だ。実績トップクラスで隊員たちの尊敬を一身に集める男だが、なぜか郁には特別に厳しくて……。
あれ? やっぱ月9かな(笑)。読んでるこっちが恥ずかしくなってしまうような、じれったい恋物語ですね。
一方で図書館と検閲サイドの争いは、まさに軍隊を必要とする「戦争」状態。また図書館内部でも原則派と行政派が水面下で攻防を繰り広げている。そういうダークな一面を知って絶望するか、前進するか…郁の成長の物語でもあるのだ。
主人公二人を取り巻く他のキャラもいい。美人で賢くやたら情報通な郁のルームメイト柴崎、堂上の同僚で笑い上戸だが世渡り上手な小牧、郁の同僚でエリート予備軍の手塚などなど、魅力的なキャラ満載です。
これは『図書館戦争2』をぜひとも書いてほしいね。だってこの設定だったらいくらでも続けられそうだし。何より!月9的視点から見ると、まだまだストーリーは道半ばでしょ!? 郁が<ある事実>を知ってふたたび王子様に再登場願わねば!そこまで読みたいよ〜。有川浩の作品はみんなじれったいからなぁ。でも『空の中』では二人上手くいったところでハッピーエンドだったでしょ? 『海の底』はまぁ一歩手前ってあたりで終わってたでしょ? しかしこの『図書館戦争』はいいところの一歩手前のもう5歩くらい手前ってあたりなんだもんなぁ。続編熱烈希望!!!


→笑いのポイント
「乙女が! 乙女がここにいます軍曹ー!」