クワイエットルームにようこそ(松尾スズキ/文芸春秋)★★★★

クワイエットルームにようこそ
こないだの芥川賞の候補作となった作品。松尾スズキの小説は初体験。「TV-BROS」のコラムは大好きなんだけども。さてさて。
読み終わってひとこと、小説家・松尾スズキ、いいじゃないの!
主人公は駆け出しのライター・明日香。同棲中の恋人と大喧嘩し、ひとりで酒を飲みながらクスリをぼりぼりと齧り続けあげく意識不明となって発見され、精神病院に強制入院させられることに。死ぬつもりなんかなかった、あれは事故だ、といくら言っても聞き入れてもらえない。そうして明日香のザ・精神病院生活がはじまってしまった…。
どこをさがしても明るい話題はないはずだが、そこはさすが松尾スズキ。ところどころで笑わせてくれて、切ないながらに前向きなラストで、ひどくバランスのいい小説に仕上がってると思う。最後あたりに出てくる「長い罰ゲームだったね」ってひとことが胸にジンとくる。文章も上手いし。過去の作品も読みたいな。