逸脱者(上) (講談社文庫) 逸脱者(下) (講談社文庫)(グレッグ・ルッカ/講談社文庫)★★★★

逸脱者(上) (講談社文庫) 逸脱者(下) (講談社文庫)
シリーズ最高傑作です。
ある要人を窮地から救ったことが注目され、一躍有名になったアティカス率いるボディーガード軍団。そのきっかけとなった要人を再びボディーガードしている最中、アティカスと因縁のある世界屈指の暗殺者・ドラマが近くに潜伏しているとの情報が入った。彼女の目的は一体なんなのかー?
世界屈指の暗殺者軍団<テン>のなかでも「人格殺人」という残酷な手法をとる暗殺者・オクスフォードとの息詰まる応酬、ドラマの意外な素顔、ドラマとアティカスの微妙な関係、そして壊れてしまった仲間たちとの信頼関係……もうどこをとっても読み応え抜群! 本当にこの作者は一作ずつどんどん腕を上げてますね。
しかしこのラストを読むと、次の作品でアティカスは一体どうなってるのかまったく予測不可能。訳者によれば、この事件から3年後が描かれるらしい。早く読みたいな。
あとがきを読んでちょっと気になることがあった。前作「耽溺者」が(面白いにも関わらず)イマイチ売れなかったのは、女性人気の高いアティカスが主人公ではなかったこと、そしてそのアティカスの恋人であるブリジットのあまりの荒々しさに腰が引けた読者が多かったのではないか、と推測されてることだ。ちょっと意外。アティカスって女性読者に人気あんのか。ふーん。私も女性読者だけどそんなに好きではないなぁ。くそ真面目なくせにどっか根本的には不安定だし、ちょっと暗いし。いやその人間臭いところが主人公としてはとてもいいと思うんですけどね。そうか。人気があるのか。
ちなみに私は今作で大活躍したドラマがとても好きになった。次の作品にも出てくれるといいなあ。