宇宙舟歌 (未来の文学)(R・A・ラファティ/国書刊行会)★★★★★

宇宙舟歌 (未来の文学)
この人の作品を読むのははじめて。…なのだけど、おっもしろいねぇ。今まで読んでなかったのが悔しいくらいだよ。SFでこんなに笑えるのは「銀河ヒッチハイクガイド」以来!?
この作品はあの「オデュッセイア」を下敷きにしたものらしい。とはいえ「題名は聞いたことあるけど、中身はまったく知らん!」というわたしが楽しめるのだから、そこらへん気にしなくていいです。ま、知ってたらもっと楽しいかもしれないから、これを読んだ後、物語のアウトライン的なものがあれば読みたいなぁとは思いましたが。
物語はさながらジェットコースターのよう。ロードストラム船長とそのクルーたちが宇宙を冒険するのだけど、行く先々が思いっきり変な星ばかり。欲望の赴くまま過ごしてしまう星でだらけきって抜け出せなくなったり、愛想はいいのにやたら闘いを強要してくる巨人族となぜか死闘を演じたり、ギャンブルの星で調子に乗って大借金をしてしまったり、美しい歌声にだまされて女のペットになったり、二本足で歩く羊たちの為に戦ったり……? もうわけわかんない。わかんないんだけどでも、めっちゃめちゃ楽しい。
当初の目的地であった自分たちの世界に降り立ったラストもいいんだよね〜。やっぱそうじゃなきゃね、男の子は!なんて意味不明に安心したり。
しかもこれを読みながら思い出したのが「ワンピース」だし。太古の昔から男の子を夢中にさせるのは、無意味な大冒険なんですねぇ。あ、でも男の子限定の物語じゃないですから。一応(たぶん?)女の子(っていう歳じゃないけど)のわたしもめちゃめちゃ楽しかったんで。
未読の人はぜひどうぞ。ページを開けば頼んでもないのに勝手に、ロードストラム船長がとてつもなく危険でおかしい旅に連れて行ってくれます。