砂漠(伊坂幸太郎/実業之日本社)

砂漠
1年半ぶりの書き下ろし長編らしい。

入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン……
学生生活を楽しむ五人の大学生が、
社会という"砂漠”に囲まれた”オアシス”で
超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、
まばたきする間に過ぎてゆく日々を送っていく。
パワーみなぎる、誰も知らない青春小説!

ちょっと前に出た「魔王」が文句なしの傑作だったので、もちろん期待して読んだのだが…正直かなり微妙なんです。突飛で遊び心あふれるアイディアから生まれるスリリングなストーリー展開…という伊坂節がなければ、ただの村上春樹チルドレンだよ。超能力者が出てきたり変な犯罪に巻き込まれたりはするんだけど、なんかネタが小粒でインパクトなんだよね。ストーリーだけみれば、かなり安易。そして『魔王』に引き続いてというか、理屈っぽい変人・西澤の口を借りて、ここでも伊坂幸太郎は「考えろ考えろ」と迫ってくる。う〜ん。そのスタンスは『魔王』一作にとどめておいてほしかったなぁ。あんまり小説に政治色持ち込むのは得策ではないよ。
なぜ波に乗ってる今、この作品なんだ? よくわからん。次の作品はミステリに戻ってほしいかも。