BASARA(田村由美/小学館)

Basara (1) (別コミフラワーコミックス)
この数日イマイチ読書に集中できなかったのは、この漫画を集めてしまったせいだ。面白いし大好きだけど、一気に読むのは中学校のころ以来かな。荻原規子の<勾玉三部作>を読むと、やたらこの「BASARA」を読み返したくなったのだ。

舞台は現代の文明が滅びさらに数百年後…科学どころか緑さえ希少価値なニッポン。砂漠に囲まれた白虎の村で予言者に「運命の子」と言われたタタラが産み落とされた。そのタタラの双子の妹である更紗の前で、赤の王の軍にタタラの首がはねられる。動揺する村民を助けるため更紗は髪を切った…「死んだのは身代わりとなった更紗。タタラは生きている!赤の王を討ち取る!」と…。
タタラとして生きるしかない更紗は赤の王討伐のため仲間を捜す旅に出る。一方、温泉場で出会う強引で図々しくてでもどこか魅力的な男・朱里に心惹かれていく…その男こそ追い求める<赤の王>だと知らずに。

たまりませんよ、ホント。ロミオとジュリエットどころではない。主人公・更紗は、愛する兄と父親の首をはね母親を連れ去りかつ生まれ育った村を滅ぼした赤の王を心底から憎むが故に、タタラを称し赤の王を追いつめる。赤の王は徐々に勢力を増すタタラ軍が邪魔であった状況に加え、唯一心を許すことが出来た従兄弟・四道をタタラ軍に殺されたため、ますますタタラへの憎しみを深めていく。
一方で<赤の王>の仮面を外し朱里と<タタラ>の仮面を外した更紗は、お互いの身分を隠したまま恋に落ちて行く。そして二人が相手の正体を知るのはなんと赤の王軍とタタラ軍の決戦の場だったー
で、そこからのストーリーがいいんだよね。初めて本気で恋した相手が最も憎むべき敵だったと知った、二人がどう出るか…。
何も持たず立ち上がったタタラは、現在の国政を嫌い、しかも信頼おける仲間を徐々に増やしていく。赤の王は国王の息子でありながら王座を追われ、二度もどん底まで落ちながらも成長し、国王軍と戦う勢力の一つとなる。
赤の王でなくなった朱里の本当の狙いは何なのか、王座を捨てた朱里を本気で更紗は討ち取ることが出来るのか…。
やっぱ少女漫画のなかで一番好きなのはこれかな。メインストーリーもすごいけど、それを彩るサブキャラもみんな素敵だし。浅葱とか。本編のラストも素晴らしいけど、外伝として描かれた朱里と更紗のその後の物語が印象に残る。やっぱそこからを描かなくちゃ嘘だよね。