著者略歴 (ハヤカワ・ミステリ文庫)(ジョン・コラピント/ハヤカワ文庫)

著者略歴 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
全く知らないこの本を買う気になったのは、帯に北上次郎スティーブン・キングのコメントがあったせい。帯のコメントに乗せる名前としてはキングより北上次郎の方がよほど信頼できるが。

作家になることを夢見る青年キャルは、ある日ルームメイトが書いた原稿を盗み読んでショックを受けた。自分をモデルに書かれたそれが、紛れもない傑作だったからだ。だが、書いた本人が事故で死に、キャルはそれを自分の作品と偽り発表してしまう。一躍ベストセラー作家となって夢を叶えたキャル。ところが、盗作の事実を知る脅迫者が現れた時、彼の生活は足下から崩れ、転落の人生が始まったー比類なき傑作スリラー

期待にたがわぬ面白さ。主人公のキャラクターがいいんだよね。軽率で小心者ではあるが、ふつうの人なんだもの。死んだルームメイトの作品を盗作したことにたいしてもやましく思ってるし。しかも自分で自分を追い込んじゃってるし。主人公がもうちょっとでも冷酷であれば、この作品はそんなに面白くなかっただろう。物語のテンポもいい。それぞれのエピソードがすっきり短くまとまっていて読みやすいし、ラストに向かってはどんどんスリリングさが増してきてページをめくる手が止まらない。終結だけみるとちょっと都合良い終わり方かなという気がするものの、それを許せるのもやっぱ主人公のキャラだろう。
これがデビュー作らしい。2作目が楽しみです。