西の善き魔女〈7〉金の糸紡げば (中公文庫)(荻原規子/中公文庫)<33>

西の善き魔女〈7〉金の糸紡げば (中公文庫)
ちょうど新作この著者の新作ノベルズを読みはじめたばかりだったのだけど、文庫の新刊でシリーズ最新作が出てたのでこっちを先に読んでしまった。別に意味はないけど。
今回も外伝にあたるんだね。フィリエルが8歳のころの物語だ。たった4人きりのセラフィールドに、ある日様子のおかしな男の子が連れられてきて…。のちに劇的な運命を経て恋人となる二人が、はじめて出会った頃の物語。
年齢を差し引いてもやたらこの作品のフィリエルはわがままじゃないか?と読みはじめて感じたのだけど、よく考えれば当たり前なんだよね。セラフィールドから出たことのないフィリエルからしたら、世界はたった4人、しかも自分以外は全員大人なのだ。いくらおかみさんががみがみ言ったところで、他に子供がいなければ社会性など育つはずもない。この物語の最後にフィリエルがやり遂げようとしたことは思考が飛び過ぎな気がしたが、それもよくよく考えると世界に子供は自分だけという状態ではありえないことではないかも知れないと思う。
フィリエルが初めて出会う同じ年頃の人間に対する複雑な感情が丁寧に描かれていてとてもすばらしいのだが、一方でこれまではほとんど語られなかったフィリエルと父親の交流や、ホーリーのおかみさんの若い頃の話など、サイドストーリーとしてもかなり濃密。
さて、次の巻で文庫版も終わりらしいが、最終巻は外伝なのか?それとも本編に戻るのかな?よくわからないままだけど。それが出る前にこれまでの物語を再読したいところではあるが、時間があるかどうか…。ま、とにかく楽しみです。