世界のはてのレゲエ・バー(野中ともそ/双葉社)<29>

世界のはてのレゲエ・バー

落ちこぼれ高校生コオは、父親の転勤によりNYで生活することに。郊外の退屈な学校を抜け出し、ダウンタウンへ足を踏み入れたコオを迎えてくれたのは、ちっぽけなレゲエ・バーだった。不器用ながらも自分らしく生きているバー仲間との出会いから始まった日々は、コオに今まで知らなかった世界を見せていく。心から大切だと思える恋、ホームレス老人の生きざま、天才ミュージシャンの孤独な素顔、かけがえのない人の突然の死……

う〜ん、困った本だな。何も考えずに読めば悪くないのよ。この人の本は「宇宙でいちばんあかるい屋根」を読んだことがあるのだけど、それはわたし的にかなりイマイチで、それに比べると上手くなってるしね。細かいエピソードはいいんだよね、それだけに惜しい…いや惜しいっていうのとも違うな…。
まず主人公がですね、毎晩麻布のクラブに入り浸って女の子に苦労したことありませんっていう高校生なのだ。それで父親の転勤でNYに移住、しかも母親がアメリカ旅行中に産まれたので主人公だけアメリカ国籍を持っているのだ。それでNYでは東京のクラブで知り合った女の子と偶然再会して、彼女が働く怪しい(が、魅力的な人が集まる)バーの常連となる。それで日本に一時帰国したときにはカメラマンとしてのセンスを買われ、人気のあるレゲエミュージシャンのライブ撮影の仕事を頼まれて、それが上手いこといってさらにツアー・パンフ用の写真撮影も頼まれ、そのミュージシャンにも気に入られ……。そんな幸運の女神付きっきりの彼に突然不幸が訪れる。東京時代付き合ってた(ちなみに学校一の美少女です)元カノが交通事故で死んじゃうのである。意味不明な理由で自分の方からこっぴどく振ったのだが、コオは激しいショックを受ける……。なんか書いてて馬鹿らしくなってきた。主人公の人生を引き立てるために、勝手に登場人物を殺さないように!まぁ、それからあとも彼は通り魔に刺されたりするのだけど、そこらへんに至ってはコメントのしようもない。
…とまぁ、彼の人生は波瀾万丈で良かったなぁ、なんてわけのわからん感想しか出てこないのだ。う〜ん、困った。