新解さんリターンズ (角川文庫)(夏石鈴子/角川文庫)<18>

新解さんリターンズ (角川文庫)
7年ぶりに新明解国語辞典が改訂されたのを機に、あの『新解さんの読み方』が帰ってきた! 相変わらず個性的な新解さんと、その変化を一語たりとも見逃すまいとする夏石さんは、今回も絶好調です。文庫書き下ろし。
本書は、日本で一番売れててずばぬけて個性的な国語辞典・新明解の楽しい語釈を拾い上げ、軽ーいツッコミを入れた<新明解国語辞典>論だ。
不思議だねぇ、夏石鈴子というフィルターを通すと、新解さんの人となりがよく見えてくる。いや、辞書っていうくらいなんだから、たくさんの人によってつくられているわけなんだけども。でも著者が取り上げる数多くの語釈を読んでると、ひとりのおじさんの姿が目に浮かぶ。
定年間近だけど、上司にこびへつらうことが嫌いだったのであんまり出世はしなかった。若い奴らからは堅苦しいおっさんだと見られがちだが、できるだけ若い世代のことも理解しようと努力はしてる。TVは時代劇が好き。刺身は赤身より白身。休日には山登りして自然を愛でるのが趣味。学生運動に燃えた過去を持つ……

くすりと笑ってしまったのをいくつか引用ー(※以降は著者のコメント)

とうぞく【盗賊】 集団をなして、大規模な盗みを働く者(ども)。
※「みんなで、大規模な盗みを働く者(たち)」では、やっぱ鬼平の感じは出ない。
よせ【寄席】 人を集め、金をとって、落語・講談などを聞かせる所。
※これでは、寄席が何だか悪い所のようですが、でも実際に行ってみると違います。
たっぴつ【達筆】 のびのびとしていて、風格を感じさせる字(である様子)。「余りー過ぎて、よく読めない」
※せっかく語釈はいい感じだったのに、なぜ用例でこうなるのか。

うちにあるのも高校時代に買った「新解さん」だが、改訂版に買い替えたくなった。