東京ライオット(戸梶圭太/徳間書店)

東京ライオット
トカジ最新刊。
所得格差の溝が深まっている近未来の東京ー低所得者の多い街・綾瀬はスラムと化していた。そこへ高所得者向けの巨大なマンションが建設された。<安全>を売りにした要塞のようなマンションの出現に、地元民たちは当然反感を覚える。

新入居者は貧乏地元民など一顧だにしないスノッブなハイソ&セレブ。そのハイソを警護する貧乏アルバイト警備員。マンション専用バスの小心な運転手。破滅的家庭環境からギャング化する中学生。宅配ピザのアルバイトで糧を得るカメラマン志望の若者。誰にも邪魔されずひっそりと暮らすことだけが願いの近隣ホームレス。そのホームレスを喰いものにして保険料を掠めとる暴力団。スラム化する街をテーマにミュージッククリップを制作する教祖的ミュージシャンとデザイナー。彼らの私利私欲が恐るべき大暴動へ繋がってゆく……

漫画のようにわかりやすい構図とキャラだが、さすがのスピード感で一気に読ませる。そして、冷ややかな視点のラストは一抹の恐ろしさを覚える。面白かったです。