くっすん大黒 (文春文庫)(町田康/文春文庫)

くっすん大黒 (文春文庫)
いつものように家を出る前、何気なく未読本のなかからこれをピックアップ。電車に乗って読み出したとたん、それが間違った選択だったということに気付く。電車の中で、ホームで、昼ご飯を食べたそば屋で、わたしはひとりで笑いを必死でこらえながら本を読んでる怪しい女になってしまったのである。どうしてくれる町田康
この本には「くっすん大黒」と「河原のアバラ」の二編が収められているのだが、表題作は処女作である。それなのにどうだろうこの完成度の高さ。言葉のセンス、笑いのリズム、展開の上手さ、どれをとっても一級品だ。「デビュー作にはその作家のすべてがつめこまれている」と言ったのは誰だったか。
ストーリーは説明しづらいのだけど、とにかく面白いの。小説読んでてこんなに笑わされたのはいつ以来? とくに表題作なんて何度読み返しても笑わされちゃうし。すべての未読の人にすすめたい作品。
町田康の作品って(これまで3冊しか読んでないけど)、読後感が爽快。どんなことも笑い飛ばしちゃうような、不思議なパワーがあふれてる。今まで純文学要素強そうだな…と敬遠してたのだけど、『浄土』をジャケ買いして本当に良かったなぁ。他の作品も読まなくては。