誤読日記(斎藤美奈子/朝日新聞社)

誤読日記
週刊朝日」と「アエラ」での連載をまとめた一冊。趣向としては『趣味は読書。』と同じで、ジャンル問わず売れてる本をサカナにツッコミまくる読書コラム。2000年春から2004年の秋(一年のブランクあり)までのベストセラーたちがずらりサカナになっております。
読者層がおじさんなだけに実用書や啓発本、タレント本などが多くを占めるが、やっぱ個人的に一番楽しめたのは一般小説を評した「文学をめぐる現象」という項かな。専門分野であるせいか、他の項よりやや冷静。舞城王太郎乙一をきちんと評価してあるし。ま、「アエラ」を読む人が舞城王太郎を読むとは思えないが。
最近はこういう「ベストセラー斬り」みたいな仕事が多いみたいだが、そろそろがっつりひとつのテーマに沿ったやつが読みたいな。視点が鋭いし文章も上手いからこういう短いコラムでも職人芸見せてはくれるんだけどね、「妊娠小説」や「文章読本さん江」、「文壇アイドル論」みたいな濃い評論を知ってるだけにちょっと薄味だと感じてしまう。ま、そのうち面白いネタを見つけてくれることでしょう。
さて、的を得た毒舌ありの書評家と言えば豊崎由美斎藤美奈子ですが、二人の対談を読みたいと思うのはわたしだけ?