嘘は止まらない(戸梶圭太/双葉社)

嘘は止まらない
間抜けな小悪党・須波はぶらりと入ったパチンコ屋で変な外人に出くわす。上下スウェットに健康サンダルといういでたち、そして訳の分からない歌を大声で歌いながら打ってる背の低い黒人だ。暇を持て余していた須波は、その男を尾行しはじめる。その男はぶらぶらしたあと、聞いたこともない国の大使館に帰っていった。ぼろっちいその大使館を見た須波はある企みを思いつき、昔の仲間で今は結婚詐欺を生業とする早乙女に話を持ちかけるー
いやー出てくるメンツの濃いこと!しかもめちゃめちゃテンポ良くて、仕事山積みのなか一気読みしちゃったよ。記号チックな官僚のキャラクターに、早乙女の冷静な脳内ツッコミに、須波の間抜けな運命に、たっぷり笑わせてもらった。そしてマニトの優しさと、ラストのプライドをかけた怒りに、ちょっとぐっときた。
これまで読んだこの人の作品の中では(っていっても3冊くらいだけど)、ダントツに好き。テンポの良さに、ユーモアとペーソスがいいかんじでミックスされた、バランスのいい作品だと思う。今後もこの路線、期待してます。ついでに可愛い表紙も大好きです。


今日はほんわかじんとくる小説に、スピード感ある笑える小説と、二冊連続でいいもの読んじゃったな。とてもいい日だ。で、仕事は…?