海の底(有川浩/メディアワークス)

海の底
塩の街』『空の中』に続く注目作家の最新作。
ある晴れた休日、横須賀沿岸に戦慄が走った。巨大なザリガニのような生物が大挙して上陸、人間を襲い始めたのだ。街中がパニックに陥ったなか、13人の子供たちが逃げ遅れる。海上自衛官の夏木と冬原は子供たちを連れ、停泊中の潜水艦「きりしお」に立てこもるー。一方陸上では機動隊が街中を奔走、巨大生物を食い止めようと躍起になるが、負傷者が続出。自衛隊の出動命令が下るまでは、と様々な策を講じる。
うん、まあまあ良かった。とんでもないパニックが起きたわりには緊張感とか悲壮感があまりないのがちょっと残念だな。陸上の話も警察のトップも有能すぎて今ひとつ盛り上がりに欠けるし。一方で潜水艦の中で孤立した13人の子供(高校生の女の子一人含む)と二人の自衛官たちの話はなかなか良かった。危機的状況に陥って苦しみながらもちょっとだけ成長する子供たちが上手く描かれてると思う。ちょっと読んでて恥ずかしくなるような恋愛エピソードが入ってるのはお約束ということで。
『空の中』『海の底』と続けば次は『地の果て』でしょうか…。