樹縛 (新潮文庫)（永井するみ／新潮文庫）

ブックオフにて購入。この人の作品もまだまだ未読のものがあるなぁ。
13年前に失踪した男女が秋田の山で白骨死体となって発見された。駆け落ちの果ての無理心中―大方の人間がそう判断した。しかし女の妹・直理と男の親友・勲はそれぞれ異なる事情から、二人の死を不審に思う。一方、直理の勤める建材メーカーの商品を利用した新築マンションで謎のシックハウス症候群が発生し―。様々な人間関係が交錯するなか、林業界の黒い秘密が明かされる長編ミステリ。
この人の長編を読むのは二冊目かな。最近は短編集ばかり読んでたし。ストーリーはわりと普通。江戸川乱歩賞路線な正統派。脇役のキャラクターまで生きてないあたりはマイナス。しかし林業という意外な舞台設定、そして驚くほどに大量の専門的な知識から生まれるリアリティーに脱帽しました。さすがに巻末の参考文献も多いし。解説を読んで知ったのだけどこの著者は東京芸大音楽科中退、北海道大学農学部卒、コンピュータ会社勤務、という経歴を経て作家になったらしい。いろいろ面白い世界を知ってる人なんだろうなぁ。