今日の雨は?

台風が来てるらしく、昨日の夜から雨が降ったりやんだりを繰り返している。外で仕事をしている人にはお気の毒だが、一気にざあっと降る雨は一瞬の涼しい風を連れてきてくれて、クーラー無しの室内にいるわたしにとっては恵の雨だ。


こういう雨はなんていう名前なんだろう?ってふと思ったのは、こないだ読んだ『愛情日誌』(夏石鈴子/マガジンハウス)の中の一編「催花雨」で、雨の写真集をきっかけに出会った男と女のストーリーが頭にあったからだ。
サイトで調べてみたら<笑い鳥通信>というところに結構詳しく雨の名前が出てた。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hachiman/kisetu/amenonamae.htm
いろんな名前があって、日本語らしい風情のある名前が多い。
栗花落・ついり/つゆ入り。ちょうど栗の花が咲き散ることから。 
翠雨・ずいう/青葉に降りかかる雨。
とか。マスコミ関係の入社試験とかに出てきそうなのも多い。
でもこの作品には「桜雨」とか「甘雨」はもっといろんな素敵な名前が出てきてて、
本の最後に参考にしたと記してあった『雨の名前』(高橋順子+佐藤秀明小学館)を買おうかなと思う。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4096814318/qid%3D1091112669/250-7834206-4557817
ま、結局今日の雨が何なのかわからなかったけど。
台風絡みの雨にも名前はあるのかな?
そんなことを考えてたら、また雨が降り出して気持ちいい風が吹く。


恋愛小説は昔から好きだしいろんな作家を読んだけど、私にとって大事なのは「再読」に耐えれるかどうかが重要なポイントだ。もともと読みやすいジャンルだし、一度目はストーリー展開によってどんな作品でも大体読めてしまう。でももう一度読みたい、とか、ふと本棚から手に取ったら夢中で読んでしまう、っていう作品は少ない。山田詠美田辺聖子はいくら読み返しても足りない。そんなわたしの好みに合う新人の作家は、夏石鈴子豊島ミホ夏石鈴子はちょっと現実寄り、豊島ミホはファンタジー寄りだけど、どっちも心のはじっこをつねってくる感じがする。最近はミステリばっかり読んでる気がするけど、たまに「またきっと読み返すだろうなあ」と思える恋愛小説に出会うと、幸せな気分になる。



▼読書
『快楽通りの悪魔』(デイヴィッド・フルマー/新潮文庫
20世紀初頭のニューオーリンズ、人種における差別が激しかったこの時代に娼館ひしめく通りで起こった不可解な連続娼婦殺人事件に、混血の私立探偵ヴァレンディンが挑む。
ミステリとしてのプロットは今ひとつだが、時代描写が抜群にいい。あとがきを読んでわかったことだけど、物語自体はノンフィクションであるが設定や町の有力者や伝説となったジャズ演奏家などは実際の史実に基づいているらしい。大好きな映画『海の上のピアニスト』で主人公のナイティーン・ハンドレッド(1900)と対決したピアニストも登場する。よく調べてあるせいか、読んでいるとその時代にタイムトリップしたかのよう。コレが処女作らしいので、次回作にも期待。