大雨or梅雨明け

梅雨が明けるたかどうかわからない、ひたすら毎日暑い東京にて。

▼読書
『消えた少年たち』オースン・スコット・カード早川書房
帯に<「本の雑誌」が選ぶ90年台のベスト100第1位>。古本屋の単行本400円均一にあったのだが、買って間違いなしと太鼓判を押されたようなもの。しかし買ったはいいものの途中でやめられないだろうという期待でなかなか読まなかったのだが、何故か数日前の夜中3時から読み始める。予想通り止まらず、読み終われば朝の7時。なんのために読むのを引き伸ばしてたんだか…。というようにこの本にかける期待は大きかったものの、この本から得られたものはそれ以上。<家族>を軸にミステリとファンタジーが、これ以上ないくらいの絶妙なバランスで混ぜ合わされたカクテルのような作品。涙腺が久しぶり緩んだ。読み終わってからも興奮してしばらく寝れなかった。家族モノにありがちなあざとさを吹き飛ばすような構成に、心から拍手。この本から受けた感動と衝撃という点では、わたしがこれまで読んできた本はかなわないと思う。


『ねじれた絆』奥野修司/文春文庫)
副題「赤ちゃん取り違え事件の十七年」
久しぶりのノンフィクション。だからというわけではないが、とてもおもしろかった。6才という微妙な年齢で取り違えが発覚し、子供を交換した二家族とその子供たちの人生をたどったもの。はじめは女性週刊誌の1ページに載せるため取材にあたった著者がその後もコンタクトを取り続け、取り違えられた少女達が30歳近くなるまでの人生を記録したもの。「情」と「血」に心を引き裂かれる親たちと、「情」にしかすがわなかった子供たちの姿に胸が痛くなる。たんたんと二家族を追った文章にも好感度大。


『海ちゃん、おはよう』椎名誠朝日文庫
はじめての子供(しかも女の子)を授かった男親のどたばたした日常を描いた作品。著者自身が経験をもとにしたと言うだけあって、とても小説としては読めない。悪い意味じゃなくて。著者がこの時代の自分を描いた作品がどうもあたまに残ってるから。でも初めての子供におっかなびっくり触れている主人公が、とてもかわいい。女と違って男の人は初めて<自分の赤ちゃん>というものに遭遇したらきっとこんな気持ちなんだろうなあ、とほほえましく思える。そんなに気負わなくても大丈夫だよ、と言ってあげたい気すらする。しかしこの本のように椎名誠の<子育て>系のエッセイやら小説を読むと、自分も子供が欲しくなってしまう。父親と母親ではまた全然違うのだろうけど、こういうふうにふんわりと子供を見つめられたらすごく幸せになれそうな気がして。


『百器徒然袋』京極夏彦講談社
眉目秀麗、腕力最強、天下無敵、迷惑千万、と四字熟語で語られる榎木津礼二郎が中心となる三篇のストーリー。本編ではラストあたりに急に現れて事件を引っ掻き回し、しかしながら読者人気ナンバーワンの榎木津。彼が主人公となる本書に期待してた榎木津ファンは多いはず。ま、語り手が変わっただけで、榎木津の登場は本編と変わりないんだけどね。キャラとしては最高なんだけどな〜。ていうか、この京極堂シリーズ自体がキャラで持ってるようなもんだけどね。無理あるストーリーからして少年探偵団、いや中年探偵団だもんなー。だからこそこんなに人気があると思うけど。小学校のときに読んでたようなミステリ思い出すもの。最近<かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド>ってシリーズが講談社から出てるけど、京極堂シリーズこそ<図書館で江戸川乱歩やルパンを読んでたあなたのための>とか帯に打ったらもっと読者層が広がるかも。<京極堂がごちゃこや難しい話をしているところを読み飛ばしてどうぞ>とか?大体、現代のミステリばっかり読んでたら気がめいるばかりだもの。京極堂シリーズは大人のための懐かしい<探偵団>モノ。



▼TV
ウォーターボーイズ2
う〜ん。ストーリーは悪くない。毎回ハードルが置かれてる状態は。…しかしボーイズの演技がね〜。過剰すぎて、どうよ?ってかんじ。ま、「1」でもそういうところはあったけどね。しかし主役がちょっと過剰すぎるなあ。脇役は走らせておいても、主役はあえて抑えておいたほうがいいと思うんだけど…。こんなテンション高い高校生いないだろ、って思われたら絶対ダメでしょう。前シリーズも脇が濃くて、でも主人公が努めて普通の情けない高校生だったからバランスが取れて良かったかんじなんだけどな。ストーリー自体は明らかに前回を引きずってるなぁ。これから変わるのか??
初日までに前の「ウォーターボーイズ」を急ピッチで再放送して、とどめに土曜日には映画まで流して、実際初回の視聴率は良かったみたいだけど。ワンクールで演技力の向上を期待するべきか。