凶悪

公開前からかなり楽しみにしていた作品。公開から二日目の新宿とあって満席だったのが印象的。


ある程度は覚悟していたものの、冒頭のシーンからドン引きの凶悪さ。ピエール瀧は何なの!完全に人殺しの目をしてるんですが!!
とにかく前半はピエールに震えた。ピエールが一瞬黙るとハッと身構える。次の瞬間激高するのかヘラリと笑うかまったく読めない。その間が怖すぎる。そして体のキレの良さが怖い。動きがこっちが思ってるのから数秒早い。それだけで恐怖を感じるなんて映像じゃないと味わえないもの。


そして本丸の先生をリリーフランキーが演じたことでこの映画の成功は決まってたのではないかと思う。「ねえねえやっちゃおうよ〜」とぐふぐふ笑いながら彼が話しかけてきたらつい乗っちゃう気がする。そんな人たらしの才能。
実際、この映画でも屈指のヒドいシーン、じじいぶぅさん演じる老人を酒を飲ませて殺すシーンなんかも、あまりにリリー&ピエールが楽しそうで楽しそうで、思わずこっちも笑っちゃったもの。本当にヒドいシーンなんだけどね。
そしてラストで先生が見せる空っぽな瞳は忘れられない。何を訴えても届かない絶望的な距離感を感じた。


他の人の感想ブログを読んでると途中で席を立つ人もいた模様。わたしが見た回では誰も立たなかったけど、それはまあ公開二日目の新宿ピカデリーですから、みなさんそれなりの覚悟をしてきたってことなんでしょう…。でもこういう暴力的な描写に免疫がなくふらりと入ってきたお客さんなら気分が悪くなって席を立つ人がいてもおかしくないと思う。それだけの凶悪さ。凶悪な人間を見たい人だけ見ればいい。


そういえばピエールの弟分役を演じてた、小林且弥さんという役者さんがすごく印象的で気になってたのだけど、なんと松田龍平・翔太のいとこなんだそう(http://www.cinematoday.jp/page/N0057326)。今後の出演作もチェックしたい!


凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)

凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)

これもかなり前に読んだので公開直前に再読。こんな雲を掴むような事件の裏付けを休日を使ってやってたのがすごすぎます…


映画が楽しみすぎて公開前に買ってしまったムック。原作著者と監督の対談はもちろん読み応えのあるレビューたっぷり。