おおかみこどもの雨と雪

劇場にて。
子供を産むことはもともと後戻りできないこと。なかったことにはできない。花はとくに、絶対に後戻りできない状況に追い込まれる。こどもが狼との混血だから。花が孤独な人でなくても誰にも相談できないよね。もちろん行政にも頼れない。だから花は頑張る。田舎に引越し屋根を修繕し自家菜園にも挑戦する。そんなにうまくいくはずがないと言う人もいる。でも花の切実さにもっと目を向けてほしい。誰にも頼れない子育てがどれほど恐ろしいものか想像してほしい。花の頑張りで物事が解決するのはそんなにご都合主義だろうか。
…とまあ熱い議論に発展しがちな「子育て」というものをテーマに選んだ監督にまずは拍手。息をのむような美しい映像(雨雪視点で森を駆け抜けるシーンは最高!)と心地よい音楽に取り込まれ、前半は感情になかせて狼化してしまう雨の愛らしさに笑い、後半はこどもたちの成長から生じる切なさに数えきれないくらい涙ぐんだ。ホントに映画館で観てよかった!