警察庁長官を撃った男 (新潮文庫)

警察庁長官を撃った男 (新潮文庫)

警察庁長官を撃った男 (新潮文庫)

国松警察庁長官狙撃事件が公訴時効を迎えた日、誰も逮捕できなかったのに「犯行はオウム」と記者会見で言ってのける厚顔には口が開いたものだがしかししかし!そのウラでここまで警察がオウムではない真犯人に肉薄してたとは本書を読むまで全く知らなかった!!
本書はチェ・ゲバラに憧れ革命戦士を志した老スナイパーの特殊な人生と、警察内部における権力者のおごりと真実を求める捜査員たちのせめぎ合いが描かれる、熱いノンフィクション。「オウムによる犯行」という線を捨てきれなかった公安上層部のくだらないプライドには反吐が出るが、それが結果として「警察庁長官を狙撃した」という称号が欲しかったであろう老スナイパーに何も与えなかったっていうのが何ともね…。そして思い込みを出来るだけ排除しようとする取材っぷりに圧倒される作品でもあった。おもしろかったです!