凍原 北海道警釧路方面本部刑事第一課・松崎比呂 (小学館文庫)

桜木紫乃が警察小説!?という驚きで即買い。サブタイといい女刑事イメジのカバーといい完全に警察小説の体だけど……やっぱり警察小説ではなく桜木紫乃の小説!殺された男が探していたのは自らの出自を証明する「女」。それは男に流され奔放に生きる女、秘密を抱えて夫を公私ともに支える良妻、婚約者を待ち続ける健気な女、息子のために罪悪感を背負う孤独な女でもあった。女たちはまるで別人なのにただ一人の女にも見えてしまう不思議。そしてその集合体である女がある元少年を大事に育て、その一方で青い目を持つ元少年を死に至らしめる。そんな女たちの人生に読み応えがないわけがない。桜木紫乃は人生を描く作家だと再認識。未読の人はぜひ本作から!(文庫だしね)
読了日:06月12日 著者:桜木 紫乃